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WHO傘下の国際がん研究機関がPFOA、PFOSの発がん性を評価。国内の河川、地下水からも検出の物質

橋本淳司水ジャーナリスト。アクアスフィア・水教育研究所代表
(写真:アフロ)

12月1日、世界保健機関(WHO)のがん専門機関である国際がん研究機関(IARC)は、有機フッ素化合物の一種であるペルフルオロオクタン酸(PFOA)とペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)の発がん性を評価しました。

PFOS、PFOAは、有機フッ素化合物の一種で、20世紀半ばから世界中で多くの製品に使用されてきました。近年、河川、地下水、土壌などから検出され、環境省が2019年から21年に延べ1477地点の河川や地下水の調査を行ったところ、139地点から国が定めた暫定目標値を上回る濃度のPFOS、PFOAが検出されました。

IARC Monographs evaluate the carcinogenicity of perfluorooctanoic acid (PFOA) and perfluorooctanesulfonic acid

IARCの作業部会は、11か国から30人の専門家が集まって行われました。広範な文献調査を行った結果、PFOAを4段階中最も高い「人に対して発がん性がある」(グループ1)、PFOSを「人に対して発がん性がある可能性がある」(グループ2B)に分類しました。

これまでWHOは、PFOA、PFOSの人の健康への影響について「知見が少なく不明な点が多い」という見解でしたが、今回の報告にともないさまざまなガイドラインに影響が出る可能性があります。

たとえば、WHOは各国が飲料水の安全基準を策定する際の基礎資料を1984年から提供しています。2022年9月、WHOは水質ガイドライン作成のための背景文書「飲料水中のPFOS及びPFOA」のパブリックレビュー版を公表し、暫定のガイドライン値としてPFOS、PFOAそれぞれ100ng/Lを提案していました。

同文書のなかには「PFOSおよびPFOAの高い曝露が報告されているものの、人間への健康影響を評価するのが難しい」「ワクチン接種後の抗体価減少は確認されているが、感染の割合の上昇との関連性は不確かであり、臨床的な意味合いも明確でない」などの記述があり、「判定するにはさらなる研究が必要」としていました。

また、「動物実験は通常、ヒトのデータが不足している場合に使用されるが、PFOSおよびPFOAのヒトへの健康影響を評価するための動物実験には不確実性がある」ともしていました。

PFOA、PFOSの発がん性が評価され、水質ガイドラインの数値も変わる可能性があります。

水ジャーナリスト。アクアスフィア・水教育研究所代表

水問題やその解決方法を調査し、情報発信を行う。また、学校、自治体、企業などと連携し、水をテーマにした探究的な学びを行う。社会課題の解決に貢献した書き手として「Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2019」受賞。現在、武蔵野大学客員教授、東京財団政策研究所「未来の水ビジョン」プログラム研究主幹、NPO法人地域水道支援センター理事。著書に『水辺のワンダー〜世界を歩いて未来を考えた』(文研出版)、『水道民営化で水はどうなる』(岩波書店)、『67億人の水』(日本経済新聞出版社)、『日本の地下水が危ない』(幻冬舎新書)、『100年後の水を守る〜水ジャーナリストの20年』(文研出版)などがある。

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