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「最初の恋愛相手との一途な純愛結婚」と「大勢との恋愛を経験した上での結婚」どちらがしあわせなのか

荒川和久独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター
(写真:イメージマート)

最初の恋愛相手と結婚した割合

結婚するまでに何人と恋愛してきているだろうか。

当然これは「人による」といえばそれまでだが、結婚するまでに10人や20人という大勢とお付き合いした人もいれば、たった1人としか恋愛せずに、その相手と結婚したケースもあるだろう。

後者の場合は、最初の恋愛相手と結婚したということになるが、実際に、そういったケースがどれくらいの割合であるだろうか?

一都三県20-50代既婚男女約5000人に対する調査結果をご紹介すると、全年代平均すると男性が14%、女性が11%である。各年代別の割合は、以下のグラフの通りで、ざっくり1割程度の既婚者は、最初の恋愛相手と結婚していることになる。

(C)ソロ経済・文化研究所 荒川和久
(C)ソロ経済・文化研究所 荒川和久

40代女性だけ割合が低いが、これは今の40代が10代後半から20代だった1990年代後半から2000年代前半は、女性の恋愛経験率がもっとも高かった時期でもある。

男性の場合、若干ではあるが、年代があがるごとにその割合が高まっている。

今の50代が20代だった頃は1980年代半ば以降で、全盛期より低下したとはいえまだお見合い結婚比率は2割弱あった。お見合いで結婚したからといって、全員がそれまで一度も恋愛経験がなかったとも断言はできないが、そうしたお膳立てによる「恋愛経験なしの結婚」がなかったとは言えないだろう。

しかし、だとすると、今やお見合いと結婚相談所も合算しても9%でしかない中で、今の20代がそれを上回る13%が「最初の相手と結婚」している点は説明ができない。

学生の恋愛は強者限定

最初の恋愛相手と結婚するパターンはどういうものがあるだろうか。この調査では、結婚のきっかけまでは追跡していないのでここは想像するしかない。

たとえば、学生時代に出会った初恋の相手と結ばれるという、まるで「明治・大正時代に描かれた小説」のような設定を想像するだろうか。

もちろん、そういうケースもないとは言えないが、思春期や学生時代に初恋するという経験は誰しもあったとしても、それが結実するのは一部に過ぎない、大抵は片思いで終わっているはずだ。常々言っている通り「恋愛強者3割の法則」の通り、特に学生時代に恋愛ができている層は恋愛強者だけである。

写真:アフロ

そして、恋愛強者は、若くして自分が恋愛強者である自覚を得るので、わざわざ最初の相手と結婚するという選択をしない。次々と相手を変えられるからだ。よって、学生時代の純愛パターンというのも考えにくい。

もうひとつ考えられるのは、今は用語としてはほとんど聞くことのなくなった「できちゃった婚」である。人口動態調査では「でき婚」比率という項目はないが、結婚期間が妊娠期間より短い出生数によって推計ができる。

2019年時点での同「でき婚」率は、18.4%である。

これも、もちろん、「でき婚」したカップルが互いに最初の恋愛相手同士と決めつけられるものではないが、最初の恋愛相手、最初の性体験相手で子どもができてしまい、そのまま結婚出産というパターンになることも含まれているだろう。

ちなみに、この「でき婚」率は、婚姻率の減少と同等に、年々低下している。2005年には26.6%もあった。

恋愛経験人数別幸福度

実際、最初の恋愛相手と結婚している既婚者がどう出会ったのかは推計の域を出ないが、結婚までの恋愛相手の人数の違いで、今の既婚者の幸福度に違いがあるのかを検証してみたい。

恋愛相手が1人=最初の恋愛相手と結婚したパターンと、平均的な恋愛人数である「2~4人」の場合、および「5人以上」の3パターンで比較をする。

結果は以下である。

(C)ソロ経済・文化研究所 荒川和久
(C)ソロ経済・文化研究所 荒川和久

女性の場合と違い、男性の場合は、「恋愛経験1人」がどの年代でももっとも幸福度が低い。

この記事では、その因果まで深く掘り下げることはできないが、少なくとも最初の相手と結婚してしまうよりは、何人かの相手と恋愛を経験した上で決断した方がよさそうである。

やはり、以前の記事で紹介した「ガードナーの法則」は正しいのだろう。

「ガードナーの法則」とは、最初の3人はあくまで基準作りのためで、選択対象とはせず、4人目以降でそれまでの3人を超える相手だと判断した場合にその相手を選ぶというのが最適解というものである。つまり、最低でも3人との恋愛経験をする必要がある。

結婚した男女は何人目の恋愛相手と結婚しているか?何人目がベストなのか?

実際に、既婚者の結婚に至るまでの恋愛人数の統計をとっても、男女とも平均4人目の恋愛相手と結婚しており、法則通りと言える。

人生には必要な経験というものがあるものだし、適正な選択肢の数というものがある。少なすぎても多すぎてもダメなのだろう。結果的に最初の恋愛相手と元サヤに収まったとしても、別の恋愛経験や失恋経験は決して無駄にはならない。

さて、選択的非婚の方は別にして、結婚したいと思っている未婚男女の皆さんは、今まで何人と恋愛経験をしてきたろうか?

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独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター

広告会社において、数多くの企業のマーケティング戦略立案やクリエイティブ実務を担当した後、「ソロ経済・文化研究所」を立ち上げ独立。ソロ社会論および非婚化する独身生活者研究の第一人者としてメディアに多数出演。著書に『「居場所がない」人たち』『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』『結婚滅亡』『ソロエコノミーの襲来』『超ソロ社会』『結婚しない男たち』『「一人で生きる」が当たり前になる社会』などがある。

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