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年収100万未満でも恋愛はできるが、結婚となると必要な年収はいくら?

荒川和久独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター
(写真:イメージマート)

結婚とお金の問題

特に、未婚男性においては、「金がないから結婚できない」という説がよくいわれる。「結婚できないのはお金だけの問題じゃないだろ」というツッコミも聞こえるが、結婚とお金の関係は決して無関係ではない。

実際、結婚は経済生活である以上「無一文でも無職でも愛があればなんとかなる」という問題ではない。

正確にいえば、「お金がなくても恋愛はできるが、結婚となると話は別だ」なのである。

2021年の最新の出生動向基本調査でも、女性が重視する条件としての「男の経済力」は91.6%であり、1997年以降ずっと90%以上を重視する項目である。逆にいえば、「経済力のない男でも結婚する」という女性は1割しかいないということだ。

しかし、結婚はそうでも、恋愛に経済力はあまり関係がない。以前、年収別の恋愛経験人数の調査結果を出したが、年収が低くても恋愛する男はするのである。

年収別男女の恋愛経験人数。「金がないから結婚できない」というが「金がないと恋愛もできないのか?」

恋人のいる未婚男女の年収

実際に、2018年内閣府「少子化社会対策に関する意識調査」の中で、20~40代の未婚男女を対象に、現在恋人がいる男女の自分の年収とパートナーの年収を聞いている項目がある。

この調査は内閣府の実施したものとしては貴重で、一般的に未婚男女の年収を調査する場合に、一括りで未婚全体で聞きがちである。そうすると恋愛相手のる未婚男女といない者とが混同されてしまい実態が把握できない。

こうして恋人がいるという、ある意味「恋愛強者」の年収分布が明らかになることはとても重要だろう(多分、内閣府はそれを企図したものでないだろうが)。

さて、この分布を見る限り、恋人のいる未婚男女の年収分布は、ほぼイコールである。大体200万~500万円の層に集中していて、ここだけで全体の約半数を占めている。

特に、注目は、男女とも100万未満の層が、300-400万円の層と同等の山となっているということだ。

もちろん、この調査では20-40代を対象としている以上、中には大学生なども含まれている。しかし、この調査対象内で「学生」の割合は5%程度なので、すべてそれによるものではない。

要するに、「金があろうとなかろうと恋愛強者は恋愛をする」のであることがここからもわかる。

それ以上に、全体的に見て、恋愛関係に発展する男女の縁が、経済的同類縁で結び付いていることもわかる。

理屈上は、年収500万の男と年収100万未満の女が付き合っているという可能性も否定できないが、現実には大体が同じくらいの年収同士で結び付くものなのである。

夫婦の年収分布

では、これが実際の夫婦となるとどうなるだろうか。

同じ内閣府の調査で、3年以内に結婚した子無し夫婦の自分と配偶者の年収分布をみると、男性はボリューム層が未婚者の300万~400万円から400万~500万円へとプラス100万円で移行するが、未婚者では二番目のボリューム層だった100万円未満がごっそりいなくなっている。

急に結婚を機に稼ぎ始めたのか、はたまた結婚相手として選ばれなかったのか。おそらく前者はせいぜい元学生の5%程度で、大半は後者が多いだろう。

男性だけで比較するとよりわかりやすい。

一方、女性は300万~400万円から100万円未満へと移行している。結婚に伴い、退職や離職によって妻のほうが専業主婦やパートへと変化したと解釈できる。

仮にほぼ同じ年収同士の若者が結婚したとしても、結婚さらにはその後の妊娠出産子育てへの移行にあたって、どうしても夫の一馬力にならざるを得ない、そんな夫婦の実情が見えてくる。

一馬力でも夫が600万円以上稼いでいるのであればなんとかなるのかもしれないが、夫婦とも300万円同士で結婚した夫婦の場合は、世帯収入が半減の300万円となってしまう。

恋愛に金は関係なくても、結婚に金は重要視されるのはそういうことである。

夫婦それぞれの事情がある

だからといって「すべての夫婦が共働きすればいいじゃないか」という簡単な話ではない。

個々の夫婦の事情はさまざま。物理的にできない夫婦もいるだろう。そもそも、大企業のように育休や復職制度が充実している会社ばかりではないし、むしろ多くの就業者は中小企業で働いている。誰もが仕事をしたいという人ばかりでもないし、妻本人が希望して育児に専念したいという人だっているだろう。

夫婦が合意納得の上で夫婦役割分業を決めたのであれば、それは尊重すべきもので、「全員共働きせよ」などというのは大きなお世話である。

大事なのは、現状日本においては、望むと望まないとに関係なく結婚後片働きになる夫婦が多いこと、さらには、子が生まれ、いろいろな費用がかさんでいく中で、「愛だけじゃ生きていけない」と思うようになる夫婦が増えているという現実の把握だ。

写真:イメージマート

「結婚には金が重要」であることが裏付けられる事実として、離婚のデータもある。

20年前と比べて最近の離婚事情を見てみると、妻側の理由では「夫の経済的理由」が、長年トップだった「性格の不一致」を抜いて1位になっているとともに、夫側の理由でも「経済的理由」が3位である。

つまり、離婚においても「金がなければ結婚が継続できない」という問題が顕在化しつつあるのだ。

愛は金では買えないかもしれない、しかし、金がなければ愛はいとも簡単に壊れるのである。

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独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター

広告会社において、数多くの企業のマーケティング戦略立案やクリエイティブ実務を担当した後、「ソロ経済・文化研究所」を立ち上げ独立。ソロ社会論および非婚化する独身生活者研究の第一人者としてメディアに多数出演。著書に『「居場所がない」人たち』『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』『結婚滅亡』『ソロエコノミーの襲来』『超ソロ社会』『結婚しない男たち』『「一人で生きる」が当たり前になる社会』などがある。

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