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生まれてから一度も恋愛相手がいたことのない「生涯未恋率」は男女それぞれ何%か?

荒川和久独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター
(写真:イメージマート)

恋愛強者の法則と働きアリの法則

恋愛能力のある男女は、いつの時代も大体3割しかいない。

これを私は「恋愛強者3割の法則」と言っているが、これは、国の基幹調査のひとつでもある厚労省の出生動向基本調査においても証明されている。

統計の残る40年前の1982年以降2015年までの長期推移をみても、「婚約者または恋人がいる」率は、男性で21~27%の間、女性は23~37%の間で推移しており(直近2015年は男性21.3%、女性30.2%)、恋愛相手がいる率というのは大体3割前後でほぼ一定だといってよい。

「恋愛強者3割の法則」については以前こちらの記事で詳しく書いた。

40年前から「恋愛強者は3割しかいない」のに「若い頃俺はモテた」という武勇伝おじさんが多い理由

かといって、残りの7割が恋愛が生涯に渡って全然できないということではない。

恋愛とは相手がいてこそ成立するものであり、相対的なものである。恋愛強者の3割が、結婚して親となり、恋愛市場から脱け出したあとには、残った中からまた新たな3割の恋愛強者が出現してくるようにできている。

これは、「働きアリの法則」によく似ている。

働きアリの社会は、よく働くアリ、普通に働くアリ、サボっているアリの割合は常に2:6:2になるという。よく働くアリ2割を間引いても、残ったアリのうち2割がよく働くアリとなり、比率は常に一定になるという法則である。

バレンタインにチョコをもらう男子の割合も3割程度だし、クリスマスにデートする割合も3割である。この割合は、40年前からほぼ不変であり、よくメディアでいわれるような「最近の若者は恋愛に消極的で草食化した」という論は的外れであることがわかる。

一度も恋愛したことのない割合

恋愛強者3割に対して、おおざっぱに7割は恋愛弱者になるのだが、より詳細に分類すれば、男性の場合、中間層が4割、最弱者層が3割に分かれる。

最弱者層とは、わかりやすくいうと「一度も恋愛経験のない者・付き合った経験のない者」を指す。

「一度も恋愛経験のない人間が3割もいるはずない」と思う人もいるかもしれない。そう思うのは、多分ご自分が強者3割か、中間層4割に入っているからだろう。

2020年に一都三県の20~50代未婚者約1万人を対象とした調査で、「今まで一度も恋愛を経験したことのない割合」を調査した結果が以下である。

恋愛未経験者は、20代未婚男性で27.3%、30代でも23.6%存在する。40代がもっとも低くなっているのは、40代世代が10~20代の頃の1990年あたりは「恋人がいた率」もこの40年でもっとも高かった時代だからである(グラフはこちら)。世の中が恋愛至上主義で浮かれていた頃だ。

生涯未婚の8割が生涯未恋

2020年時点の男性の生涯未婚率が25.7%であることから、恋愛経験のない者=生涯未婚というわけではなく、一度や二度恋愛経験があっても結果として結婚に至らなかった人が数%存在しているということになる。

それでも男性の場合、生涯未婚者25%のうち約20%、つまり生涯未婚の8割は生涯未恋者であるということだ。女性の場合も、生涯未婚16%に対して、生涯未恋者が12%程度あり、生涯未婚に占める生涯未恋割合は男性とほぼ一緒である。

男性に比べて女性の方が、恋愛未経験率が少ないのは、一部の「押しの強い」恋愛強者男性による二股・三股恋愛に巻き込まれた可能性は否めない。実際、マッチングアプリ界隈では、既婚男性に騙された婚活女性もいるだろう。

写真:アフロ

恋愛強者男性が恋愛強者たる所以は、浮気や不倫だけではなく、離婚しても再婚するエネルギーがすごいところにもある。

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歳をとると面倒くさくなる

もちろん、全員が恋愛をしなければならないということはないし、恋愛自体に興味がないことが悪いわけではない。たまたま相手がいなかっただけかもしれない。また、50代を過ぎても恋愛しないわけではないが、それは若い時に恋愛経験済みである場合であり、まったくの未経験者が年齢を重ねたからといってできるものではないだろう。そもそも、未経験なのに「恋愛したい」という動機が突然湧くものではない。

一般的に、年を重ねれば重ねるほど、恋愛しなくなる。なぜなら、恋愛とは面倒くさいものだからだ。男性の場合、特に、恋愛はお金も時間も体力も神経も消費しなければならないことも多く、今まで成功体験のない者がリスクを冒して立ち入ろうとは思わなくなる。

写真:イメージマート

晩婚化は全体の未婚化に波及する

このように、恋愛市場においては、常に男女とも全体の3割しか恋愛ができない「見えざる力」が作用しているのだとしたら、本当は3割の恋愛強者はさっさと若いうちに既婚者となって、恋愛市場から退出していただいた方が、残りの7割にとっては好都合なのかもしれない。

皆婚時代と呼ばれた1980年の平均初婚年齢は男性でも27歳台だった。それが今では31歳を超えている。4歳も晩婚化したことで、7割が恋愛市場に入る時期が後ろ倒しになったことで「タイミングを逃した」未婚者も、もしかしたらいるかもしれない。全く関係ないともいえるが、そういうことにしておいた方がいい未婚者は、それでいいと思う。

繰り返すが、恋愛強者率3割はいつの時代も一定である。別の視点で見れば、1980年代までの皆婚時代とは、お見合いや職場婚などの社会的結婚システムにより、「恋なき結婚」がお膳立てされていたことによって成立したものであろう。

真面目な話、恋愛結婚比率が9割以上の現代、恋愛は結婚と直結する。全体的な晩婚化が進めば進むほど、未婚化は進む。歳をとればとるほど、面倒くさいことは避けたくなる。恋愛以上に結婚もまた「面倒くさい」ものだからだ。

結婚することの是非はともかく、どうしても結婚したいという人は「面倒くさいも楽しめる」若いうちにした方がいいと思われる。

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※記事内グラフの無断転載は固くお断りします。

独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター

広告会社において、数多くの企業のマーケティング戦略立案やクリエイティブ実務を担当した後、「ソロ経済・文化研究所」を立ち上げ独立。ソロ社会論および非婚化する独身生活者研究の第一人者としてメディアに多数出演。著書に『「居場所がない」人たち』『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』『結婚滅亡』『ソロエコノミーの襲来』『超ソロ社会』『結婚しない男たち』『「一人で生きる」が当たり前になる社会』などがある。

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