ロシア軍の爆撃再開を受け、トルコ軍もシリア北西部に拠点を増設

Turkiye Haber Ajansi、2020年6月4日

トルコ軍が5カ所に拠点を新設

英国で活動する反体制系NGOのシリア人権監視団などによると、トルコ軍が6月3日晩から4日にかけて、シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構をはじめとする反体制派の支配下にあるイドリブ県内の5カ所に拠点を新設した。

新たな拠点が設置されたのは、アレッポ市とラタキア市を結ぶM4高速道路沿線のカイヤーサート村、ブサンクール村近郊の自動車学校、ザーウィヤ山北のマルイヤーン村、マアッラータ村、アレッポ県に近いタフタナーズ市。

これにより、シリア領内のトルコ軍監視所・拠点は66カ所となった(シリア人権監視団の計算だと62)

トルコ軍の監視所・拠点が設置されている場所は以下の通り:

監視所

  • イドリブ県:サルワ村、サルマーン村、ジスル・シュグール市(イシュタブリク村)
  • アレッポ県:登塔者聖シメオン教会跡、シャイフ・アキール山、アナダーン山、アレッポ市ラーシディーン地区(南)、アイス村(アイス丘)、タッル・トゥーカーン村
  • ハマー県:ムーリク市、シール・マガール村
  • ラタキア県:ザイトゥーナ村

拠点

  • イドリブ県:マアッル・ハッタート村、サラーキブ市(3カ所)、タルナバ村、ナイラブ村、クマイナース村、サルミーン市、タフタナーズ航空基地、マアーッラト・ナアサーン村、マアッラトミスリーン市、マストゥーマ軍事キャンプ、タルマーニーン村、バルダクリー村、ナフラヤー村、ムウタリム村、ブサンクール村(3カ所)、ナビー・アイユーブ丘、バザーブール村、バータブー村、ラーム・ハムダーン村、アブザムー町、ムシャイリファ村、タッル・ハッターブ村、ビダーマー町(2カ所)、ナージヤ村、ズアイニーヤ村(2カ所)、ガッサーニーヤ村、クファイル村、バクサルヤー村、フライカ村、バルナース村、アリーハー市、ジャンナト・クラー村、バサーミス村、カイヤーサート村、マルイヤーン村、マアッラータ村、タフタナーズ市
  • アレッポ県:アナダーン市、アレッポ市ラーシディーン地区、ジーナ村(2カ所)、カフル・カルミーン村、タワーマ村、第111中隊基地、アターリブ市、ダーラ・イッザ市、カフル・ヌーラーン村
  • ハマー県:ムガイル村

なおこのほかにも、トルコ軍はM4高速道路沿線に監視ポスト14カ所を設置している。

ロシア軍の爆撃再開を受けた動き

トルコ軍による拠点新設は、ロシア軍による爆撃再開を受けたものと見られる。

ロシア軍は6月2日、北西部で停戦が発効した3月5日から89日ぶりに、シャーム解放機構や中国新疆ウィグル自治区出身者からなるトルキスタン・イスラーム党が活動を続けるハマー県北西部のガーブ平原一帯への爆撃を再開した(「ロシアが89日ぶりにシリア北西部を爆撃、戦闘再燃の兆しか?」を参照)。

ロシア軍は6月3日にも、同地への爆撃を行った。

爆撃の狙いは、M4高速道路以南地域で反体制派の活動を封じ込め、3月5日の停戦合意に従って、同道路の安全を確保すること。

トルコ軍による拠点新設も、ロシア軍爆撃に対抗するというよりは、こうした動きに同調するものだと思われる。

トルコのメヴリュト・チャヴシュオール外務大臣は、6月3日にTV24のインタビューに応じ、シリア情勢をめぐって以下の通り述べている。

アンカラとモスクワの間には地域問題や国際問題をめぐって意見や見解の相違があるが、トルコは対話を通じて問題を解決することを望んでいる…。我々は、シリア危機、リビア情勢、クリミア問題、ウクライナ情勢といった多くの問題で、ロシアと合意に至っていない。だが、我々はモスクワとの対話を続ける。

M4高速道路沿線で大きな爆発

しかし、シリア人権監視団によると、6月4日、M4高速道路沿線のアリーハー市近郊で、大きな爆発が発生した。

爆発は、ロシア・トルコ軍の合同パトロール実施直後に発生、トルコ軍部隊が警戒態勢を強化した。

M4高速道路沿線では、5月28日にも爆発が発生し、トルコ軍兵士1人が死亡している(「シリアでの相次ぐ爆発でトルコ軍兵士と中国ウィグル系のトルキスタン・イスラーム党戦闘員が死亡」を参照)。

(「シリア・アラブの春顛末記:最新シリア情勢」をもとに作成)