デモから1ヵ月 あの群衆がコロナ感染爆発に繋がっていない理由(最新調査結果)

ブルックリン橋を行進した群衆。3週間前の様子。(c) Kasumi Abe

ミネソタ州ミネアポリス市で発生したジョージ・フロイドさんの暴行死をきっかけに、アメリカ全土で発生した「Black Lives Matter」ムーヴメント。5月25日に発生した事件から3日後の28日、ニューヨークでも最初のデモが起こった。

初日はユニオンスクエアというマンハッタンのダウンタウンにある公園で抗議活動が起こったが、翌29日には市庁舎前やブルックリンなど複数の場所に拡散。以降、州内全土に広がり、日に日に規模が大きくなっていった。

3週間前の6月4日、ブルックリンでのフロイドさんの追悼式にも多数の人が集まった。(c) Kasumi Abe
3週間前の6月4日、ブルックリンでのフロイドさんの追悼式にも多数の人が集まった。(c) Kasumi Abe
日に日に規模が大きくなり、ものすごい数の人々が「毎日」行進した。(c) Kasumi Abe
日に日に規模が大きくなり、ものすごい数の人々が「毎日」行進した。(c) Kasumi Abe

「弟のテレンスさんを迎えて行われたフロイドさんの追悼式」その他の写真

このようにアメリカで最初のデモが起こって4週間が過ぎ、今も小規模で続いている。一時期はかつてないほどの規模にまで膨れ上がったが、結局のところ新型コロナウイルスの感染拡大に影響はあったのだろうか?

実際のところ、アメリカ全体でのコロナ感染症例数の波は、まだ下がっていない状態だ。(ここ数日はやや上昇。今日は1日の新規感染者の最多である3万6000人が発表された)

そんな中、国家経済調査局は6月24日、「デモが発生して3週間経過したが、315都市において感染症例が急増した事実は特に見られない」という最新の調査結果を発表した。

感染拡大防止のためには、日本では「3密」を避けるようにと言われている通り「密集」と「密接」が重なるデモ集団は感染爆発の要因になりやすい。しかしデモに参加した人の多くは、社会的距離を十分保っていなかった。筆者も5月29日、すでに巨大化したデモ2箇所に初めて足を運んだ。またその1週間後も、フロイドさんの追悼式で大きな群衆の中に身を置いた。参加した人々の中で、社会的距離を保っている様子は確認できなかった。(大混乱で、中にはマスクが外れている人もいた)

同調査局は、デモ参加者の中でコロナウイルスの感染が広まった可能性は否定できないとしつつ、一方でアメリカの全人口から見てみると、それは「ほんの一握り」ではないかということだ。またその数を上回るはるかに多くの人が、抗議活動や過激化した暴動でトラブルに巻き込まれたくないということで自宅に引きこもった、つまり社会的距離を十分保ったことが関連しているのではないか、とした。

ニューヨークのクオモ州知事による最新の発表。5月末にデモが開始してからも入院患者(重症患者)数は下がり続け、陽性率もあまり変わらない。

(6月23日のデータ)

1日のウイルス検査実施数:5万1144

そのうちの陽性数:581症例

感染率(陽性率):1.1%

入院患者数:1071人に減少

1日の死者数:17人

アメリカではパンデミックの最中にBLMの大規模なデモが各地で発生し、感染爆発が2週間ほどで起きるのではないかと懸念されていた。

3週間後の調査結果では、デモによる感染症例が急増した事実は見られないということだが、とは言え経済活動が再開したフロリダやアリゾナ、テキサスなど一部の州では第2波がすでに起こっている。それらの州からニューヨークなどトライステートエリアを訪れる場合は14日間の自己隔離が課せられる。今後も注視が必要だ。

(Text and photos by Kasumi Abe)無断転載禁止