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追加チャーター2便帰国(貨物機)、感染者12人 新型コロナウイルス 米国最新状況(2/5現在)

安部かすみニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者
2月5日、サンディエゴのミラマー海兵隊航空基地に到着寸前のチャーター機。(写真:ロイター/アフロ)

12人目*の感染者が確認

アメリカでは2月5日、12人目*の新型コロナウイルス感染者がウィスコンシン州で確認された。内訳はカリフォルニア州6人、イリノイ州で2人(夫婦間感染)、ワシントン州、アリゾナ州、ウィスコンシン州、マサチューセッツ州にそれぞれ1人ずつだ。

*Updated: 2月12日現在、カリフォルニア州で2人増え、全米の感染者は14人)

ニューヨークタイムズ紙による、現在の症例数がわかる中国近辺および世界のマップ(アップデート中)

米主要航空会社、米中を繋ぐ便を欠航に

アメリカン航空、デルタ航空、ユナイテッド航空の主要3社は1月31日、アメリカと中国を繋ぐフライトを一時中止にすると発表した。欠航は早くて3月末まで、一部は4月末まで続くとみられる。アメリカン航空とユナイテッド航空の、アメリカと香港間のフライトはこれまで同様に運航する。詳細

武漢在住の米国人の救済措置(その後)

日本同様に、アメリカ政府も武漢在住のアメリカ国籍者を帰国させており、その第1便チャーター機は1月29日、約201人を乗せアラスカ経由でカリフォルニア州マーチ空軍予備役基地に到着した。

CNNの報道では、それに続く第2、3便も2月4日に飛び立ち、5日にカリフォルニア州サンディエゴ市にあるミラマー海兵隊航空基地(写真上)と、カリフォルニア州北部のソラノ郡にあるトラヴィス空軍基地に着陸した。

今回も前回同様、貨物用の機体だったようだ。

チャーター機内の様子

トータル3便で計500人以上が武漢から帰国した模様だ。今後も必要に応じて、チャーター機を飛ばす予定があるという。

この第2、3便については、そもそも2月3日に武漢を出発予定だったが1日延期となっていた。その理由について、「中国政府はこの件のコメントを拒否した。これはアメリカ政府が、過去14日間中国に滞在した外国人に対し、一時的にアメリカへの入国を拒否するなどの対応を、北京当局が批判したことと関連する」と、先のCNNは報じた。

後続便で帰国した人々も第一便同様に、連邦政府による14日間の検疫措置を命じられているが、どの人も検疫体制には協力的だという。武漢から追加便で帰国した乗客の1人は、検疫措置に従う理由についてこのように話した。

「私たち帰国者がアメリカに病気を持ち込んでいると嫌悪する人々が中にはいるが、正直なところそれは私たちの願いではない。差別や否定的なコメントを直接浴びたわけではないが、新聞やネットをチェックする限り、自分の近所にコロナウイルスが来てほしくないと考える人々がいることは想像できるし、そう考えるのもしょうがないことだと思う」詳細

国内ではさまざまな珍事も

1月30日、米ダラス発ヒューストン行きのアメリカン航空国内線で、ガスマスクを頭に装着した乗客が搭乗し、ほかの乗客がパニックになる騒動があった。乗客はガスマスクを外すことを拒んだため、機内から強制的に降ろされた。

この乗客はダラスに向かう際の機内では、ガスマスクを着けておらず、この日装着した理由については明らかにされていないが、新型コロナウイルスの感染防止のためではないかとみられている。

アメリカでは本来、マスク装着はアジア諸国のような防止のためではなく、「自分がウイルスを持っており飛散防止」を意味するため、ガスマスクはおろかマスク姿でさえ目にすることはこの国では華僑でもない限りほとんどなかった。よって、人々がパニックに陥ったのは無理もない。(ただしここ1週間ほど、人混みの中で、防止のためにマスクを装着するアメリカ人も微増中)

NYでは中国帰りの2人が追加検査

ニューヨークでこれまで検査を受けた数名は陰性判定となっており、今のところ感染者は確認されていない。ただし、最近中国から帰って来たばかりの2人が追加でウイルス検査を受けたことが明らかになり、ほかに検査結果待ちが4人いる。

筆者は長年ニューヨークに住んでいるが、チャイナタウンと工事現場以外でマスクをしている人をこれまで見たことがなかった。しかし、1月27日の週になって初めて満員電車内でマスク姿の人をごく少数だが見かけるようになった。(今も多くの人はマスクをしていない)

ヨーロッパでは、日本人も含むアジア人差別が問題になりつつあると聞く。ニューヨークで私は幸い、そのようなあからさまなアジア人差別を自分のこととして体験したことがない。知り合いはいつも通りハグしてくれるし、イベント招待も止まっていない。電車の中では見知らぬ人が隣に座ってくる。

ただし、ここ1週間ほど地下鉄で、子連れの母親がアジア人の近くには寄り付かなくなっていることを少なくとも意識する。また、チャイナタウンを通る地下鉄車両内では、在住外国人が冗談で中国系と見られる人々に対してからかう動作をしているのを見かけ、私まで嫌な気持ちになった。

感染者がこの国で増え続けるなどしたら我々アジア系の人々は肩身が狭い思いをすることになるのだろうか、今はちょっと想像がつかない。

(Text by Kasumi Abe)  無断転載禁止

ニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者

米国務省外国記者組織所属のジャーナリスト。雑誌、ラジオ、テレビ、オンラインメディアを通し、米最新事情やトレンドを「現地発」で届けている。日本の出版社で雑誌編集者、有名アーティストのインタビュアー、ガイドブック編集長を経て、2002年活動拠点をN.Y.に移す。N.Y.の出版社でシニアエディターとして街ネタ、トレンド、環境・社会問題を取材。日米で計13年半の正社員編集者・記者経験を経て、2014年アメリカで独立。著書「NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ」イカロス出版。福岡県生まれ

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