なぜ川崎FはJ1リーグ新記録となる11連勝を果たせたのか?
「セットプレーでもゴールを取れる、という印象を他のチームにも与えられたと思う。これからも向上させていって、ひとつの武器にしていきたいと思う」 前回のグランパス戦で今シーズン初黒星を喫し、愛知県豊田市からそのまま移動して臨んだ、敵地でのヴィッセル神戸戦も2-2で引き分けた直後。その後のスケジュールを見た鬼木監督は、再び連勝街道を突き進めば11戦目で、再びグランパス戦が待っている偶然に気がついた。 新型コロナウイルスによる中断から明けた直後に自分たちが樹立した10連勝のJ1新記録を、秋になって自分たちの手で塗り替える。プレッシャーがかかるからと選手たちには伏せた目標を、スタッフの間ではしっかりと共有し、スカウティングを含めて万全の準備を積み重ねてきた。 そして、サンフレッチェ広島に快勝し、J1史上で初めてとなる同一シーズンで2度目となる10連勝を達成した直後のオンライン会見。スタッフの間で秘められてきた目標を鬼木監督が公言した瞬間に、11連勝はフロンターレに関わるすべての人間の合言葉へと変わった。指揮官が言う。 「勝つことが成長へ繋がるという思いもあって、自分たちの記録を超えたかった。また歴史を作れるのであれば、いまのメンバーでなければいけない。12連勝、13連勝へ、強い気持ちで臨みたい」 残り10試合となったJ1戦線で、2位のセレッソ大阪に勝ち点で17ポイントもの大差をつけた。優勝うんぬんよりもいつフロンターレが勝利の美酒に酔うのかに、勝ち点や勝利数、総得点、得失点差などで歴代のJ1最多記録をどれだけ塗り替えるのかに焦点が移っていくなかで、実際に戦う選手たちやスタッフはあくまでも「成長」の二文字を貪欲に追い求め続ける。 変則日程の関係で、次節は31日まで空く。ホームに迎える相手は今月7日のYBCルヴァンカップ準決勝で0-2の完敗を喫し、連覇の夢を絶たれたFC東京だ。まずは過密日程で蓄積した疲労を取り除いてから、再び用意されたリベンジの舞台へ、フロンターレは心身のモチベーションを高めていく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)