20歳ホープの宮代大聖が逆転勝利の神戸戦で決勝点…なぜ川崎Fには日替わりヒーローが生まれるのか?
メッセージを込めて何度も視線を送った。パスを出してくれ。必ずゴールを決めてみせる。左側をドリブルで進むMF脇坂泰斗を追い抜き、自らが歓喜の雄叫びをあげる光景を思い描きながら、川崎フロンターレのFW宮代大聖はヴィッセル神戸のペナルティーエリア内へ侵入していった。 FWレアンドロ・ダミアンが自ら獲得したPKを決め、2-2の同点に追いついた直後の後半40分。フロンターレが自陣から発動させたカウンターは、小学校3年からフロンターレの下部組織で心技体を磨き続けた20歳のホープ、宮代にとって一生忘れられない瞬間に結びついた。 「いい形でボールを奪って、上手く抜け出したヤス君(脇坂)が、最後にフリーの僕に丁寧で優しいパスをくれた。あとは流し込むだけだったので、走り続けて本当によかったです。パスを出してくれれば絶対に決めるという強い気持ちがあったので、必死に叫びました」 開始早々にフロンターレがFW小林悠のPKで先制するも、ヴィッセルがFW古橋亨梧、FW藤本憲明の連続ゴールで逆転。再びフロンターレが追いつく、白熱の攻防が展開された9日の明治安田生命J1リーグ第15節は、プロ3年目の宮代が決めた待望のJ1初ゴールで決着がついた。 しかも舞台は宮代が下部組織のころから何度も足を運び、憧憬の念を抱き続けたホームの等々力陸上競技場。まばゆいスポットライトを浴びながら、ヒーローは初々しい声を弾ませた。 「等々力でゴールを決めるのは、小さなころからの夢でもあったので。ひとつ夢をかなえることができて、チームの勝利にも貢献できたことがすごく嬉しいです」 ヴィッセルのMF山口蛍が送った縦パスを、キャプテンのDF谷口彰悟が判断よく前へ飛び出してカット。こぼれ球を拾い、すかさず前を向いた脇坂から前方のハーフウェイライン付近のダミアン、そして右タッチライン際にポジションを取っていた宮代へテンポよくパスがつながった。