「当事者としての発信はこれっきりにしたい」伊藤詩織さん会見7月20日(本文1)
ジャーナリズムの力に助けられてきた
振り返ってみると本当に当時の報道は、やはりこういった被害を当事者が話すっていうことがまだまだ珍しかったのか、やっぱり注目されてしまう点が、思わないようなところ、服装であったりだとか、違う部分に向けられてしまったのは、当時は残念でしたが、その同じ年の10月に世界では#MeToo運動が始まったり、それも1つの報道から始まりましたよね。ていうところでスタートしたことに、本当にこうやって、これまで届くと思わなかった声が少しずつ届くようになったかなと感じています。 私がここに座っていられるのは、やはりその報道の一歩があったからなのですよね。なので、この場をお借りしたいんですけど、『週刊新潮』の田中記者、そちらに小さく座っておられますが、角に、が、中村格氏が逮捕状を、自分で逮捕しなくてもいいという指示を出したということを、裏を取っていただいたおかげで今まで分からなかったそういったことが分かって、1つ問い掛けてた答えが返ってきて進めたという背景がありますので、やはりそういったことに対してはジャーナリズムの力っていうことに本当に助けられてきたと感じています。 なので、ここまでこの裁判の経過を見守り、報道し続けてくださった方々には本当に感謝しますし、これから、私は今回の最高裁の決断は、これは1つの決断ですが、これが全て今の社会であったり、これは個人的な言葉なんですけれども、今の社会、そして進むべき方向を示しているものではないと個人的には思います。でもそれがやはり今の現状の法律なのであって、そこに対して私たちがどう向き合っていくかっていう材料を今回突き付けられたんだなというふうに感じています。
伝えるという仕事に専念したい
なのでポイントは、きっとこれから残念ながらまた起こってしまうであろう同じようなケースに対して、じゃあそのときはどういうような法が使われるのか、どういうような決断がされるのかというところで、引き続き皆さんにウオッチをしていただき、またそれに対して、今の刑法では、やはり不同意性交は犯罪では、イコールではないっていうところに対して目を向けていただいて、今後の刑法の改正であったりに注目していただき、また、そういったことが世界的にはスタンダードになっている中で、なぜそうならないのか、そういった当事者の声はどういったものなのかっていうことに耳を傾け続けていただけたら幸いです。 いろいろな本当に気持ちがあって、ちょっとまだ整理し切れなくて、今日も何を話そうか本当に分からないところがあったんですけど、こうやって報道してくださったこと、そして会見をしたあとは、私はもうこの話をしないと決めていたんですけど、本を書いてみたら? と応援してくださった編集者の方に、本当にお礼を言いたいのと、ここまで、やはり裁判は本当に1人ではできなかったのと、かなりやはりこのように先生方に助けていただくという上で、個人的なことですが、資金面で本当に大変なことでした。 そこで、途中から反訴も起こされ、1億3000万近くの金額を請求されたときには恐ろしくなってしまって、やはりちょっとサポートが必要だなと思っていたときに有志で集まってくださったOpen the Black Boxの、民事裁判をサポートしてくださった会の方々に本当に、そしてサポートを、この民事裁判をサポートしてくださった方々に本当に心からお礼を申し上げます。これまでの歩みと、ここで得た学びを少しでもこれからも発信できるように、サポートしていただいた分、そこをシェアできるように今後も、私も伝えるという仕事で還元していけたらなと思っています。 ただ、今回はというか、今回限りで、こうやって自分の当事者としての声を発信するのはこれっきりにしたいなと考えております。これでやっと私もまたそちら側の皆さんの席に座って、報道する側に専念して心を切り替えられるかなと思うと、7年間長かったけれども、こちら側に座って報道される側というものを経験したことは私にとって大きな経験だったので、これを生かしつつ、今後も伝えるという仕事に専念してまいりたいと思います。皆さん、今日はありがとうございました。