交流戦で連敗を「14」で止めた巨人は「ソフトバンクに勝てない」“トラウマ”を払拭することができたのか?
プロ野球のセ・パ交流戦の注目カードのひとつが巨人対ソフトバンクだった。日本シリーズで2年連続で4連敗の屈辱を味わった巨人がどこまでソフトバンクに食い下がるかがポイントだったが、連敗した後、第3戦でようやく巨人が4-3で一矢を報いた。2019年の交流戦から日本シリーズ、オープン戦を含めて続いていた連敗を14(1分けを含む)で止めた。2019年6月22日の交流戦で勝利して以来、実に708日ぶりの白星だった。 この1勝でトラウマを脱却できたのか。それとも1勝2敗で負け越したことで“ソフトバンクコンプレックス”は続くのか。 セ・リーグのペナントレースの戦いにも直結するソフトバンク戦の総括について、巨人OBでヤクルト、西武では監督を務めた球界大御所の広岡達朗氏の見解を聞いた。 「両チームの力の差は歴然。日本シリーズから続いている実力差は、まだ縮まっていない。危機感を抱いた原の必死の継投策でなんとか逃げ切った。この1勝の意味は大きいが、重要なのは今後にどう生かすかなのだ」 1試合目に4被弾を含む9失点で完敗、2試合目も先手を取ったが5発を打たれ3ー8で逆転負けを喫した。3連敗だけは避けたい原監督は、3戦目に中4日で戸郷を先発に立てた。 4タテを許した昨年の日本シリーズでは中継ぎ起用し先発としては温存していた対ソフトバンクの秘密兵器。先制したが追いつかれ2-2で迎えた5回に岡本の勝ち越しの14号ソロが出ると、6回から継投策に入った。鍵谷、大江、高梨、ビエイラとつなぎ、スモークの一発で2点差にすると8回からは左腕の中川を投入、9回にも回跨ぎで続投させた。その中川が1点差に追いつかれ、なお2死一、二塁で甲斐を迎えたところでデラロサにスイッチ。三振を奪い、なんとか逃げ切ったが、まるで9月の優勝争いの中で行うような後先を考えない1戦必勝の決死の継投だった。 広岡氏は「戸郷の中4日に象徴されるように先発の頭数が足りない。完投能力はなく7回さえ持たない。だから中継ぎ、抑えに負担がくるが、そこでも頼れる中継ぎ、抑えもいない。巨人の苦しいところだ。ソフトバンク、阪神との差は、この点にある」と指摘する。 52試合消化時点で、すでに鍵谷が24試合、高梨が22試合、中川は25試合に登板。残り試合を考えると余裕はない。