交流戦で連敗を「14」で止めた巨人は「ソフトバンクに勝てない」“トラウマ”を払拭することができたのか?
「打線ではスモークはいいが、スタメンを外れた丸の状態が悪すぎるので打線が線にならず爆発力が出てこない。丸は左ピッチャーに対するタイミングの取り方に問題がある。振り遅れるのだ。高卒で叩き上げられ苦労した生え抜きこそがチームリーダーになるべき、が私の持論だが、その条件を満たす坂本が怪我でいないからチームの危機を引っ張る選手がいない。菅野はいつ帰ってくるのか。ゲームを作るピッチング技術を持ち計算が立つのは、菅野だけ。この2人がいない状況で、ソフトバンクに勝てるほど甘くない」 広岡氏は、打率.317、6本、12打点の成績を残している新外国人のスモークを評価しているが、丸の不調(打率.231)を考えると、足し算で、むしろマイナス。また菅野、坂本の投打のリーダー不在の影響が、結果以上に響いていると見ている。 巨人はオフに打倒ソフトバンクを掲げてFAで横浜DeNAの梶谷、井納の2人を獲得、新外国人としてスモーク、テームズの2人を揃えた。だが、テームズは、合流初戦にアキレス腱断裂で事実上の戦力外となり梶谷も怪我でソフトバンク戦には1軍にいなかった。 キャンプでも打倒ソフトバンクを意識。パ・リーグの力のある投手に対抗するため、打撃練習では打撃投手の投げる位置を数メートル手前に動かし、NPBやセ・リーグの会議では機会がある度にDH制の導入を訴えてきた。それでも交流戦では1勝が精一杯だった。 では、ソフトバンクがベストメンバーだったかというとそうではない。ソフトバンクも、エースの千賀、グラシアルが故障で戦列を離れ、ブルペンを支えるモイネロ、クリーンナップのデスパイネの2人はキューバ代表として東京五輪の出場権をかけた米大陸予選に参加するためにいなかった。 「ソフトバンクの強さは我慢強く生え抜きを育てている点にある。栗原、周東、牧原ら若手が出てきているし、中村、長谷川、今宮らのベテランが地味に活躍するのは、そういう土壌で苦労して育った選手だからだ。巨人も生え抜きの若手を育てつつあるが、まだまだ金で集めた選手に頼っている状況から脱却していない」と広岡氏。 30日のスタメンを見るとソフトバンクで他球団からの移籍組は元ヤクルトのバレンティン一人。一方の巨人はトレードも含めて元日ハムの石川、元楽天のウィーラー、元オリックスの中島、元ヤクルトの広岡、元西武の炭谷と5人も他球団からの移籍組が名を連ねた。 「ソフトバンクも金を使って補強している時期があったが、3軍を作り、立派なファーム施設があり、王会長を筆頭に、生え抜き育成のチームコンセプトが明確だ。巨人は金を使って補強するだけで、コーチが生え抜きを教えるという部分も含め育成姿勢が中途半端。結局のところ、ソフトバンクと巨人の差は、こういう部分なんだと思う」 広岡氏の見方は厳しい。