「オオタニは最初、チームの平均値以下だった。でも…」エンゼルス元コーチが振り返る「ジャンプ力測定での出来事」 来季以降も“MVPが期待”できるワケ
全米野球記者協会(BBWAA)が選出する各賞の最終選考者が日本時間12日に発表され、ドジャースの大谷翔平はナ・リーグMVPの最終候補3人に選出された。大谷がMVPを獲得すれば3度目となり、アルバート・プホルス、アレックス・ロドリゲス、マイク・トラウトらと並ぶ。 【変わりすぎ写真】「ガリガリだったエンゼルス時代の大谷」→「大谷のう、腕が…“まるでハルク”」&愛される大谷翔平「ドジャースベテラン勢がニコニコ」まですべて見る 私の好きな一冊に”The MVP Machine: How Baseball’s New Nonconformists Are Using Data to Build Better Players”( 日本語に直訳すると『MVPマシン:野球界の新異端児たちがデータを用いてより優れた選手を育成する方法』)という本がある。 2019年6月に出版されたもので、著者はベン・リンドバーグとトラビス・ソーチック。この本は日本語にも翻訳されていて、日本語のタイトルは『アメリカン・ベースボール革命:データ・テクノロジーが野球の常識を変える』であり、岩崎晋也氏の翻訳によって化学同人から出版されている。
MVP輩出に影響を与える「データ重視」トレーニング
本は2018年1月にNPBの横浜でもプレーしたトレバー・バウアーがシアトル近郊のドライブラインで練習しているところから始まる。 バウアーは、2017年シーズンは31試合に先発し、17勝を挙げたが、防御率は4.19で、球界屈指の好投手という評価には届いていなかった。その彼が毎秒数百回撮影できるエッジャートロニックとレーダーと光学式追跡システムなどで投球データを集め、そのデータから、どのようにすれば投げたいボールが投げられるか試しているところが描写されている。 バウアーのほかにも、何人かの選手が取り上げられている。28歳になって突然、打撃成績を向上させたドジャースのマックス・マンシー、何度もマイナー降格をしながら、38歳でワールドシリーズの大舞台で投げたリッチ・ヒル、オリオールズとメッツで結果を出せなかったが30歳を目前にブレークしたジャスティン・ターナー、アストロズからリリースされたJ・D・マルチネス、そして、ムーキー・ベッツらが登場する。 ベッツは例外だが、そのほかの選手は目立たない成績で、生存競争の激しいメジャーリーグで崖っぷちに立たされていた選手もいる。その彼らがテクノロジーとデータを活用し、これまでメジャーでは当たり前とされていなかったフォーム改造などに取り組むことで、MVP投票で票が入る選手になったり、サイ・ヤング賞候補になったりする姿を描いている。 つまり、メジャーリーグのなかで抜きんでた身体能力を持っていなくても、20代半ばを過ぎても目立った成績を上げられなかった選手でも、データをうまく使い、常識にとらわれず、理にかなったフォームに変えることによって『化ける』可能性を見せつけたといえる。 メジャーリーグがひとつのアクションごとの数値を本格的に公開するようになったのは2015年だ。今、わたしたちが見ている大谷翔平の全盛期は、スポーツとテクノロジー、データの時代と重なる。 平均的な選手でもリーグトップ級に化けるが、もともとトップクラスの選手はさらによくなる。 もともとの身体能力が高く、集まってきたデータをうまく活用できるスタッフと、自分自身の研究熱心さを持ち合わせた選手が、こういった情報とテクノロジーを活用すればどうなるか。その答えのひとつを大谷は体現しているのではないか。
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