2敗目ショック…森保監督を解任せずにW杯アジア最終予選を突破できるのか?
これらの数字が何を意味しているのか。いい守備からいい攻撃、もう少し踏み込めば高い位置でボールを奪ってのショートカウンターというコンセプトのもとで、ピッチへ送り出した先発の11人の自主的な判断を重視し、先制すれば優位に試合を進められる。 対照的に先制されれば選手交代や、あるいはシステム変更を介して劣勢を好転させられない。指揮官の臨機応変な采配を含めたベンチワークの欠如が最大の問題点であり、改善される兆しが見えないからこそ解任を求める声が飛び交う状況を招いている。 森保監督は2017年12月の立ち上げから、東京五輪世代の選手たちを幅広く指導してきた。把握している選手層は歴代屈指の厚さを誇るという意味で、いつしか「1チーム・2カテゴリー」や「ラージグループ」という言葉も生まれた。 しかし現状では、東京五輪世代をスムーズに融合させているとは言い難い。 サウジアラビア戦ではDF冨安健洋(22・アーセナル)が先発フル出場し、後半アディショナルタイムにDF中山雄太(24・ズヴォレ)が長友に代わって投入された。しかし、冨安は森保ジャパンが立ち上げられた当初からセンターバックを担ってきただけに、東京五輪世代でプレーしたのは中山だけ、それも数分間となる。 ベンチではDF板倉滉(24・シャルケ)、MF田中碧(23・フォルトゥナ・デュッセルドルフ)、MF三好康児(24・ロイヤル・アントワープ)のフィールドプレーヤーがリザーブで敗戦を見届け、DF橋岡大樹(22・シントトロイデン)はベンチ外だった。 MF久保建英(20・マジョルカ)に続き、MF堂安律(23・PSVアイントホーフェン)もけがで離脱したとはいえ、これでは兼任監督の日々が意味をなさない。 サウジアラビア戦を終えて戻ったホテルで、オンラインでメディアに対応した森保監督は「間違っているのであれば、みなさんに指摘してもらえればいい」とした上で、低調な内容が続くアジア最終予選を戦っているチームに自信を寄せた。 「ベースの部分の方向性は間違っていないと思うし、進んでいく段階で変えなければいけない状況ではマイナーチェンジ、修正を加えながら目標とするところに向かっている」 しかし、ホームでのオーストラリア戦で敗れれば、グループBの3位と目標を大幅に下方修正せざるをえない。生きるか死ぬかの大一番で何ら変化も起こさずに勝ち点を落とすのであれば、フランス大会出場を目指していた1997年10月以来、24年ぶりとなるアジア最終予選中での指揮官更迭という大ナタを振るわなければならない事態となる。 (文責・藤江直人/スポーツライター)