2敗目ショック…森保監督を解任せずにW杯アジア最終予選を突破できるのか?
前回は最終的に6勝2分け2敗の勝ち点20をマークし、グループBを1位で突破。サウジアラビアとオーストラリアが勝ち点19で並び、得失点差で前者がロシア切符を獲得し、後者はシリア代表とのアジア・プレーオフ、北中米カリブ海4位のホンジュラス代表との大陸間プレーオフを勝ち抜いてワールドカップの舞台に立った。 田嶋会長のコメント通りに、残り7試合を全勝すれば前回のボーダーラインである勝ち点20を大きく超える。それでも日本を取り巻く状況を楽観視できない理由は、前回と決定的に異なる、3試合目までにあげたゴール数に凝縮される。 5年前はUAE、タイ、イラク代表戦で計5ゴールをマークしたのに対して、今回は中国代表との第2戦で決勝点となったFW大迫勇也(31・ヴィッセル神戸)のわずか1ゴールにとどまっている。オマーン、サウジアラビアにはともに0-1で屈した。 3連敗で最下位に沈むベトナム代表の3ゴールよりも少ない、グループBのワーストにランクされる理由を突き詰めていくと、必然的に森保監督の采配に行き着く。 システムは一貫して[4-2-3-1]で、けが人や出場停止者を除けば、長く主軸を担ってきた大迫を筆頭にMF柴崎岳(29・レガネス)、DF長友佑都(35・FC東京)、GK権田修一(32・清水エスパルス)らが序列通りに先発した。 特にサウジアラビア戦は右サイドハーフの伊東純也(28・ヘンク)が出場停止で、左には適任者がいない状況でも[4-2-3-1]に固執。左で先発した南野拓実(26・リバプール)はまったく存在感を発揮できないまま、後半14分に退いている。 南野は森保ジャパンにおいて中央のポジションで結果を残してきたし、南野に代わって同じ左サイドハーフに入った古橋亨梧(26・セルティック)も、今夏に神戸から移った新天地で1トップとして公式戦で8ゴールをあげている。 適材適所という概念を踏まえれば[4-2-3-1]に選手を当てはめるのではなく、大差の試合が続いたアジア2次予選で試した[4-3-3]や、2019年に幾度となく採用している[3-4-2-1]を柔軟に取り入れる手もあった。すでに[4-2-3-1]および配置される選手が、対戦相手にも見透かされている状況だからこそ効果も見込める。 実はキャプテンのDF吉田麻也(33・サンプドリア)に対する柴崎のバックパスが大きくずれ、均衡を破られた後半26分の時点でサウジアラビア戦の結末は予測できた。 ロシアワールドカップ後に就任した森保監督は、サウジアラビア戦までに40試合を戦って28勝5分け7敗、勝率8割の結果を残していた。しかし、7つの黒星に共通する、決して看過できない試合内容が、手腕に対する評価を芳しくないものにしていた。 共通するのはすべて対戦相手に先制を許し、挽回できないまま試合終了を迎えている点となる。サウジアラビア戦でさらにひとつ加えられた「先制されると勝てない」パターンは、東京五輪世代を指揮した戦いでさらに顕著になる。 準決勝でU-24スペイン代表に0-1で、3位決定戦ではU-24メキシコ代表に1-3でともに先制された末に敗れてメダルを逃した本大会を含めて、兼任していた東京五輪世代での戦いで通算1分け11敗と一度も逆転勝ちがなかった。