W杯アジア最終予選サウジ、豪州戦のカギを握るDF冨安健洋のアーセナル仕込み「メンタリティー」と「ボックス内勝負」
来秋に中東カタールで開催される次回ワールドカップ出場をかけた最初の正念場、難敵サウジアラビア代表とのアジア最終予選第3戦(日本時間8日午前2時キックオフ)へ向けて、日本代表が4日に試合会場の敵地ジッダで始動した。 初練習に先立って、今夏に移籍したプレミアリーグの名門アーセナルで、右サイドバックとして躍動している冨安健洋(22)がオンライン取材に対応。12日のオーストラリア代表戦(埼玉スタジアム)と続く今月の連戦へ、ワールドカップ出場権獲得から逆算した上で「ここで決まる、と言っても過言ではないくらい大事になる」と闘志を高めた。 冨安の加入とともに、開幕3連敗で最下位に沈んでいたアーセナルは3勝1分けと鮮やかにV字回復。名門を蘇生させた「負けないメンタリティー」をオマーン代表との初戦でまさかの黒星を喫し、グループBの4位に甘んじる森保ジャパンへ還元する。
「直接対決で勝てば勝ち点6の価値がある」
敵地で日本時間3日未明に行われた、ブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンとのプレミアリーグ第7節で先発フル出場。スコアレスドローでアーセナルに勝ち点1をもたらしてから約26時間後に、冨安はすでに決戦の地ジッダにいた。 サウジアラビア入国後に受けたPCR検査で、一夜明けた4日の朝食前には陰性が証明された。ロンドンとの時差も2時間とさほど気にならない。初練習前に応じたオンライン取材で、冨安は充実した表情を浮かべながら間近に迫った連戦を見すえた。 「直接対決で勝てば勝ち点で6ポイント分の価値がある。サウジアラビア、オーストラリアと続く今月の2試合は本当に大事になるし、ともに6ポイント分の価値がある一戦だということを常に忘れずに、準備期間を含めていい緊張感で戦いたい」 アジア最終予選がスタートした9月シリーズで、日本はホームでオマーンにまさかの黒星を喫し、舞台をカタール・ドーハに移した中国代表との第2戦で辛勝した。 対照的にサウジアラビアとオーストラリアはともに連勝発進し、得失点差で後者がグループBの1位、前者が2位につける。2位までが自動的にカタール行きの切符を手にする、来年3月末までに計10試合を戦う短期決戦。組み合わせが決まった7月の段階で両国がライバルになるとわかっていたからこそ、冨安の決意は説得力を伴う。 文字通りの負けられない戦いを、冨安は新天地アーセナルでもこの1ヵ月の間に乗り越えてきた。セリエAのボローニャから夏の移籍市場最終日の8月31日に移籍した冨安を、サポーターやロンドンのメディアは辛辣な言葉とともに迎えた。 「土壇場のパニック買い」 冷静な判断力を失った状態での獲得、と揶揄されたのには理由がある。8月第2週に開幕した今シーズンのプレミアリーグでアーセナルは3連敗を喫し、特にマンチェスター・シティとの第3節では0-5のスコアで惨敗していた。