イプシロンロケット2号機打ち上げ準備状況説明会(全文1)開発のコンセプト
試験機から3年 第2段ロケットを大きく変更
さて、以上がだいたいイプシロンのコンセプトのおさらいなんですけれども、じゃあ試験機を打ったあと3年間何をやっていたんですかっていう話なんですけど、3年間じっと、なんかチャンスを待っていたわけではなくて新たな開発に取り組んでいました。先ほど、何枚か前のスライドで、ロケットのコンセプトで重要なものは機体と設備と運用ですよっていうお話をしましたね。試験機では設備と運用の部分をものすごく効率的に変えたんですね。一方、機体の部分は先ほどお話ししたようにSRB-AとかM-Vのものを最大活用して、機体そのものは大きく変わっていたわけではなかった。今回の2号機ではこの機体の部分に大きな改革を加えて、いわゆる高性能、低コストな技術に挑戦してるんですね。機体そのものの改革に取り組んだというのがイプシロンの2号機なんですね。 具体的に何をやっているかっていうと、第2段ロケット。いろいろ変えてるんですけれども、一言で言うと第2段ロケットを大きく変えました。第2段ロケットを大型化して、今まではフェアリングというロケット先端のふたの部分ですね。この中に2段ロケットが入っていたんですけれども、大型化して外に出した。外に出すことによって2ついいことがありました。1つはフェアリングの中の衛星のスペースが広がって、より大きな小型衛星が上がるようになった。 それから第2段ロケットを外に出すために大型化しましたんで、燃料増えたと。打ち上げ能力が上がるんですね。つまりより重たい小型衛星も上がるようになった。で、能力を数字で表すとこんな感じで、太陽同期軌道という地球を南北に回る軌道、これをだいたいターゲットにして考えると、試験機は450キロの衛星しか上がらなかったんですけれども、今回の2号機、強化型イプシロンみたいなニックネームで呼んでいますけれども、590キロまで上がるということで、能力3割増なんですね。これはロケット開発から言うと、なかなか本格的な新しい開発がなされたという認識でいいと思うんですね。 ちなみに今回2号機は基本形態で飛んでいきます。で、3号機はオプション形態で飛んでいきます。で、この両方を打って、初めてこの能力向上開発っていうのは完全に終了する、そういう形になるとわれわれは思ってるんですね。 さて、じゃあそのイプシロン2号機で新たな取り組みをたくさんしたわけですけれども、一番大きいところは何かっていうとこの第2段ロケット、これを大型化しました。で、どのぐらい大型化したかっていうと一番上の行に書いてあって、推進薬の量が10トンぐらいから約15トンぐらい。約ですよ、5割ぐらい増えたという形なんですね。これは皆さん想像のとおり、約5割増しということで相当大きなモーターに生まれ変わったと。 で、燃焼試験、昨年の12月に行ったんですけれども、秋田県の能代市、真冬の能代市の燃焼試験、どんな目に遭うかって心配したんですけど、風もなく暖かい、とてもものすごい状況のいい中で試験ができたんですね。この運の強さを2号機の打ち上げの瞬間まで生かしたいという思いでいるわけです。 【連載】イプシロンロケット2号機打ち上げ準備状況説明会 全文2へつづく