イプシロンロケット2号機打ち上げ準備状況説明会(全文1)開発のコンセプト
イプシロンの運用性の向上
で、もう1つ別の言い方をすると、これ、ものすごく大事なことを言っていて、要は皆さんは、どっちかっていうと、あるものを使っただけではないかっていうふうに思うかもしれないんですけれども、そうじゃない側面もあって、例えばこれからの宇宙開発利用をもっと活発化するためには、ロケットをどんどん高性能に低コストにしていく必要がある。そのときにロケットをばらばらに開発していたら駄目なんですね。いろんなロケットの機種横断的に使えるものをなるべく増やしていこう。要は日本で言うと、H-IIA、H-IIB、あるいはH3ロケットとイプシロンの共通項を最大にしていく。最大化していく。これが、これからの世界の宇宙ロケットの開発の基本的なコンセプトになっていくと私は思うんですね。そういったことのイプシロンの試験機は、ものすごく上手に世界に対してお手本を示したのかなというふうにも思ってるんですね。 さて、ちょっとこの絵、見にくいんですけれども、簡単に言うとイプシロンの運用性がどのぐらい良くなりましたかっていうのがこの辺に書いてあって、例えば一番上はレートアクセスって言うんですけれども、最後に衛星にアクセスしてから何時間後に打つんですか、逆に言うと打つ何時間前まで衛星にアクセスできますか。これはものすごく大事なポイントで、例えば宇宙科学の衛星で言うと観測する、星を観測するために望遠鏡とかそういうのをつくるんですけれども、真空状態に置いておく必要があるとか、あるいはなるべく温度を冷やしておきたいというのがあって、直前まで真空に引いたり、あるいは冷却するという作業が必要で、これが直前までできればできるほどいいんですね。そういう意味でイプシロンはものすごく、3時間前まで衛星にアクセスできるということで、ものすごく機動性が高い。 それからこれは、下の表は何を言っているかというと、第1段ロケットを発射台に立てる作業から始まって、打ち上げて、翌日片付けて帰るまでに何日ぐらいかかりますかっていうのが書いてあって、これは試験機とか2号機でこうなってるっていう話ではなくてイプシロンを3発、4発、5発打っていくとだんだん射場の作業というのが効率化していく。それから試験機段階で必要な特別な点検とかも要らなくなって、日数はどんどん短くなる。そういう状態になったらどうかという最終目標が書いてあるんですけれども、イプシロンの場合には9日間。個人的には1週間を狙っているんですけれども、そういったところが視野に入ってきたということが言えるんですね。 今後さらに試験機、それから2号機の打ち上げた結果を検証して、こういうところを改善しましょうとか、ああいうところを改善しましょうっていうところが見えてきますので、この9日間というのは本当に7日間ぐらいになるんではないかなと思ってるんですね。 さて、これは内之浦の射場の様子が書いてあって、試験機のときにできたことが主に書いてあるんですけれども、昔、発射台の近くにあった管制室っていうのが、発射台からもう2キロも離れたようなところに置かれるようになった。要は、モバイル管制とか呼んでいますけども、遠隔でロケットの管制ができるようになったというようなことが書いてあるんですけれども、大事なポイントが1つあって、要は先ほど、宇宙ロケットの未来というのを考えると、なるべく機種横断的に使えるものを最大化しようと。共通部分の最大化というお話をしましたけれども、これはロケットの本体だけではないんですね。 射場の設備も同じで、実は内之浦の射場というのはアンテナ系とかそれから飛行安全系、こういったところはロケットの種類によって変わらない共通部分なので、実は種子島の打ち上げと共通化してるんですね。一方、発射台回り。イプシロンを載せて打ち上げる発射台、あるいはイプシロンを組み立てる整備棟。こういったものはどうしてもロケットのコンフィギュレーションに依存してしまうので、そういうものはM-V時代のものをしっかり改修して使いますというようなコンセプトが書かれてるんですね。そういう意味で、機体も射場も共通部分をどんどん最大化していくというのがこれからの鍵になるというふうに思ってるんですね。