今日J開幕…“大本命”川崎を追い落とすのはどこだ?
一方でチーム力のさらなるアップを託される新戦力、ディエゴ・ピトゥカ(サントス)とアルトゥール・カイキ(アル・シャバブ)のブラジル人MFコンビが、緊急事態宣言発令下における外国人の新規入国禁止で来日のめどが立っていない。鹿島とともに地力のあるマリノスも、新ストライカー候補のブラジル人FWレオ・セアラ(ヴィトーリア)の合流時期が未定のまま開幕を迎えた。 新型コロナウイルス禍に見舞われた昨シーズンに降格なしの特例が設けられた結果、今シーズンは昇格組の徳島ヴォルティスとアビスパ福岡を加えた、史上最多の20チームがJ1リーグを戦う。1チームあたりの試合数は例年より4つ増ふえて「38」となり、全体の5分の1にあたる17位以下の4チームがJ2へ自動的に降格する、かつてないシビアな戦いが繰り広げられていく。 本来ならば降格となる最下位に終わった湘南ベルマーレからは、オフにDF坂圭祐(大分トリニータ)、MF松田天馬(京都サンガF.C.)、MF金子大毅(浦和)、MF齊藤未月(ルビン・カザン)、MF鈴木冬一(ローザンヌ・スポルト)と東京五輪世代の若手を含めた主力が次々に移籍した。 「いろいろな数字が表すように課題がある。たとえば攻撃の部分で点が取れていない点をしっかりと踏まえて、キャンプでは意識して取り組んできた。ベースとなるスタイルや戦い方は変えない」 浮嶋敏監督は努めて前を向くが、リーグワーストの総得点29に終わった攻撃を改善するべく獲得した新外国人FWコンビ、ウェリントン(ボタフォゴSP)とウェリントン・ジュニオール(ポルティモネンセ)の入国および合流時期が、未定という状況も苦境に追い打ちをかける。 オフの国内移籍市場が活性化したなかで、11位の大分からもチーム得点王のMF田中達也(浦和)をはじめ、DF鈴木義宜(清水エスパルス)、DF岩田智輝(マリノス)、MF小塚和季(川崎)、MF島川俊郎(鳥栖)と主力が軒並み移籍。13位の鳥栖もMF原輝綺(清水)、DF森下龍矢(名古屋)、MF原川力(C大阪)、MF高橋秀人(横浜FC)らを失った。 J3を戦った2016シーズンから指揮を執り、大分を成長させながらJ2およびJ1への昇格、J1残留へと導いた片野坂知宏監督は「20チームで戦うなかで、優勝争いだけでなく順位争いや残留争いも厳しくなる覚悟で準備してきた」と語る。引き分けでよしと確実に勝ち点を拾う、現実的な戦いに徹する下位チームが増えてくれば、おのずと優勝争いにも影響を及ぼしてくるだろう。 ただ、2010シーズンのFC東京、2012シーズンのG大阪、2016シーズンの名古屋のように、戦力的には期待を寄せられながら一度崩れたリズムを取り戻せず、J2降格を喫したチームも少なくない。東京五輪開催に伴う中断期間が設けられた影響で過密日程が待つ今シーズンの場合は、建て直す間もなく次の試合が訪れるケースも多くなる。ゆえに序盤戦の戦い方が大事になってくる。