なぜ中村俊輔は”キングカズ”が去ったJ2降格の横浜FCに残ったのか…継承する魂と背番号「25」に込められた思い
J2へ降格する横浜FCとの契約を更新し、プロになって26年目のシーズンに臨むMF中村俊輔(43)が20日、キャンプ先の和歌山県内からオンライン取材に応じた。 54歳のFW三浦知良がJFLの鈴鹿ポイントゲッターズへ期限付き移籍。チーム内で最年長になった俊輔は「カズさんがいないのは単純に寂しい」と苦笑しながら、日々の練習で“キング”が見せてきた意識の高さやサッカーへの熱量を引き継ぎ、J1へ復帰するだけでなく「定着できるチームにしていきたい」と誓いを立てた。 背番号を「10」から、横浜マリノスでのルーキーイヤーにつけた「25」へ変更。初心に帰る決意を込めた司令塔は、四方田修平新監督が求める攻撃的なスタイルを実践し、その上で「自分の色を出していきたい」と3年ぶりとなるJ2での戦いを見すえた。
「カズさんがいないのは寂しい」
偶然にもロッカーが隣同士になった縁で、さまざまなサッカー談義を熱く交わしてきたカズの姿はどこにも見当たらない。出場機会を何よりも優先させて、カテゴリーをJFLへと下げたカズの決断を尊重しながらも、俊輔は偽らざる思いを明かした。 「やっぱりカズさんがいないのは単純に寂しい。このキャンプを見ても、いつも先頭で走るとか、カズさんがやってきたことがすぐにわかるから」 率先してランニングを引っ張るだけではない。例えばパス交換でちょっとでもコースがずれると、大声で「ごめん」と謝るカズの姿に俊輔は何度も感銘を受けてきた。 「ほんのちょっとミスをしただけなんだけど、常に高い意識を持っているからそうやって謝る。カズさんが残してくれたものは個人個人の脳裏に焼きついているはずだけど、僕のなかではメンタル的なものの方が大きいかな。カズさんの練習への取り組み方やものすごく高い熱量を大事にして、自分でも意識しながらやっています」 カズの去就がメディアをにぎわせていたなかで、俊輔自身は昨年12月22日に横浜FCとの契約を更新。プロになって26年目のシーズンを、夏場に当時J1のジュビロ磐田から加入した2019シーズン以来、3年ぶりにJ2の舞台で戦うと決めた。 年が明けてまもない1月6日か、あるいは7日だったと記憶している。9日の新チーム始動へ向けて自主トレーニングを行おうと、俊輔は横浜市保土ケ谷区内にある横浜FCのLEOCトレーニングセンターに、午前8時ごろに到着した。 「そうしたら僕よりも早く、カズさんも練習に来ていたんですよ」 驚いた俊輔は練習を終えた帰り際にカズと交わしたあいさつのなかで、11日の正式発表よりも前に、実兄の泰年氏が監督兼GMを務める鈴鹿への移籍を告げられている。 「報道通りのところへ行くかもしれない、シュンらしいプレーをして頑張れと。カズさんも頑張ってください、また一緒にやれたらいいですねと僕も言いました」