第166回芥川賞受賞会見(全文)砂川文次さん「あれよあれよという形でここに」
これからの抱負は
読売新聞:あともう1つ最後に。『ブラックボックス』というタイトルの中には、やはりSNSの中で、人生で失敗をすると、あ、こいつ終わったなって言われて、書かれて、一言で終わってしまう。でもそれでも彼らの人生があるぞという。その社会の中でブラックボックスにある人間に光を当てるという側面と、もう1つ、心の暗部っていうブラックボックスっていうものに光を当てるという側面もあるとは思うんですけども、まさにその作品が芥川賞という形で光に当てられ、多くの方に読んでいただくきっかけになることに対するあらためての思いをお知らせください。と同時に、これからの抱負もお伺いできればありがたいと思います。 砂川:ちょっと先に抱負のほうなんですけれども、賞に限らず作品を書くに当たってはどうしても集中しなきゃいけないっていう、うん、集中しなきゃいけないんです、私の中では。で、そうですね、変わることはあると思います、書いていくものですとか、ある程度のテーマとか振れ幅みたいなのはもちろんあると思うんですけど、変えちゃいけないものを変えずにこのあとも引き続き書いていきたいと思います。 で、ごめんなさい、本当に今緊張してるので最初の質問をもう一度お願いしてもいいですか。 読売新聞:まさにタイトルにあるさまざまな意味でのブラックボックスっていうものに芥川賞という形で光が当てられ、これから多くの読者の方に読んでいただけるという、その評価と読まれるっていうことに対する、自分の作品がそういうふうに巣立っていくことに対する喜びとか思いをお伝えいただければと思います。 砂川:ありがとうございます。はい。感謝の気持ちでいっぱいです。ただ、ごめんなさい、本当に賞を受賞してこういう場に引きずり出されるっていう経験がなかったので、ちょっと、はい、ごめんなさい、本当に、なんと言っていいか分からないです。まだ実感が、多くの人に読まれたらいいなとは思ってますが、どうしてもそこの読まれているっていうリアルな実感というのは、ごめんなさい、正直まだ感じていないです。ので、こういう機会をいただけたことは本当にありがたく思ってるので、ありがとうございます。 司会:はい、ありがとうございます。 読売新聞:ありがとうございました。
最後に一言
司会:というような状況ではありますが、砂川さん、言い残したこと、あるかとも思いますが、一言最後にご自身の口から記者の皆さんに、カメラのほうに向かっての、読者の皆さん、視聴者の皆さんに一言お願いできますでしょうか。 砂川:はい。特にないです。はい。 司会:砂川文次さんでした。ありがとうございました。皆さん、拍手でもって。 砂川:ありがとうございました。 (完)【書き起こし】第166回芥川賞受賞会見