芥川賞の砂川文次さん「本当になんて言っていいか」戸惑いながらも喜び
第166回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)は19日、発表され、芥川賞に砂川文次(すなかわ・ぶんじ)さん(31)の「ブラックボックス」が選ばれた。砂川さんは「正直、まだよく分かってないまま、あれよあれよという形でここに来ているので、ちょっと困ってます、はい」とハキハキした口調で受賞の感想を語った。 【動画】第166回「芥川賞・直木賞」発表 砂川文次さん、今村翔吾さん、米澤穂信さんが会見
変えちゃいけないものは変えずに
砂川文次さんは1990(平成2)年大阪府生まれ。 2016(平成28)年の「市街戦」で第121回文學界新人賞を受賞。芥川賞は過去、「戦場のレビヤタン」、「小隊」がノミネート作に選ばれ、今回が3回目だった。 受賞の知らせは自宅で。「妻は良かったねといってくれましたが、上の子はポケモンをやっていて、ちょうど伝説のポケモンをゲットする最中だったので見向きもしてくれなかったですね。下の子については、『この後ちょっと行くから』と言ってからずっと泣き通しだったので、妻に申し訳ないことをしたなと思っています」と明かした。 受賞作の主人公は、自転車便の仕事をしている。「最初の着想では、自分の好きなものを詰めこもうということで、自転車が好きだったのでそれを題材にして、というところから入りました」 芥川賞を受賞して、「感謝の気持ちでいっぱいです。ただ、賞を受賞してこういう場に引きずりだされる経験がなかったので、ごめんなさい、本当になんて言っていいか分からないです。多くの人に読まれたらいいなとは思ってますが、どうしても読まれているというリアルな実感はまだ感じていないので、こういう機会をいただけたことはありがたいと思います」と記者会見の雰囲気に戸惑いながらも感謝した。 今後の抱負について、「書いていくことやテーマに振れ幅はもちろんあると思うんですが、変えちゃいけないものは変えずにこのあとも引き続き書いていきたいと思います」と今後を見据えた。 (取材・文:具志堅浩二)