直木賞の今村翔吾さん、受賞の報を受け「号泣してしまいました」
第166回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)が19日、発表され、直木賞は今村翔吾(いまむら・しょうご)さん(37)の「塞王の楯(さいおうのたて)」と、米澤穂信(よねざわ・ほのぶ)さん(43)の「黒牢城(こくろうじょう)」が選ばれた。今村さんは「まさか自分が泣くとは思ってなかったが号泣してしまいました」と受賞の連絡を受けたときの状況を明かした。 【動画】第166回「芥川賞・直木賞」発表 砂川文次さん、今村翔吾さん、米澤穂信さんが会見
池波正太郎と同じ37歳で受賞できて…
今村翔吾さんは1984(昭和59)年京都府生まれ。 2017(平成29)年に「火喰鳥 羽州ぼろ鳶組」でデビューした。 直木賞には過去、「竜の神」、「じんかん」がノミネートされたが、選に漏れた。「1回目の時から選評を読み、それを消化してから次の作品の臨むことができたと思うので、前回の欠点はある程度努力して補えたかと思います」 「塞王の楯」は、戦国時代の石垣職人と鉄砲職人の対決を描く作品。「あこがれの池波(正太郎)先生と同じ37歳で受賞できて、めちゃくちゃうれしかったです。歴史小説にどっぷりつかっていた少年がここに来られた、ということが感慨深いです」と喜びをあらわにした。 その一方で、「直木賞は僕にとって夢ですし、素晴らしい賞ですが、明日になれば過去になるので、またより良い作品を、そして自分の生き方として新しい夢というか、次の目標を常に持っていきたいなと思います」と語った。 今後書きたいことを問われると、「あえてチープな言葉でいうと、面白いものを書きたいです。面白い小説の力を僕は信じているので、あえてシンプルに面白い小説を届けたいと。そこに僕は光があると思っています」と力を込めた。 書店経営も行っているという今村さん。新型コロナウイルスの感染が収束したら、全国の書店を巡りたいと考えている。「きれいごとかもしれないけど、何かできることはないんかと思って。車で全国を一筆書きで回って、書店さんたちを応援することを計画していますので、『翔吾来てくれ』という方はぜひ呼んでください」と呼びかけた。 (取材・文:具志堅浩二)