パート勤務で「年収128万円」だけど、定額減税の「調整給付金」を受け取って年収が130万円を超えてしまった! この場合も「社会保険」に加入する必要はあるのでしょうか?
今年の定額減税で減税しきれない人に対して支給された調整給付金。すでに多くの人が受け取ったのではないでしょうか。給付を受け取った人のなかには、社会保険への加入を避けるために年収130万円以内に抑えていたという人もいるでしょう。 本記事では、給付を受けたことで130万円の壁を超えてしまった場合、社会保険に加入しなければならないのか、対処法とともに解説します。 ▼扶養内で働いてるけど、労働時間が「週20時間」を越えてしまった!「社会保険」に加入する必要はある?
定額減税の仕組みをおさらい
定額減税は、2024年度の経済施策として行われました。減税額は1人あたり所得税3万円、住民税1万円の合計4万円。子どもや扶養親族がいる場合は、その分も併せて差し引かれます。 所得税は6月以降の給与の支払時や確定申告時に差し引かれ、住民税は6月分が徴収されず、1年間の合計税額から1万円を差し引いた額が7月から11ヶ月間にわたり徴収されます。 そして、住民税・所得税を足しても減税しきれない部分が発生した場合に支給されるのが「調整給付金」です。給付額は1万円単位で切り上げられるため、人によっては1人あたりの減税・給付の合計が4万円以上になる場合もあります。
130万円の壁のおさらい
「130万円の壁」とは、社会保険の扶養から外れるボーダーラインを指す言葉です。収入が130万円を超えると社会保険の扶養から外れ、自分で社会保険料を納めなければなりません。 企業に勤めている場合は、健康保険や厚生年金に加入します。保険料は事業主と折半するため比較的負担は少なく、将来の年金額も増やせます。一方、国民年金や国民健康保険に加入する場合、保険料はすべて自分で負担する必要がある分、手取り額が大きく減ってしまいます。 厚生労働省の「令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査の概況」によれば、配偶者がいる無期雇用パートタイマーの53%が就業調整の理由に「130万円の壁」を挙げました。社会保険料の負担を避けるための「働き控え」は依然として多いようです。
一時的な収入増は「事業主の証明」があれば心配なし
調整給付金は非課税のため所得に該当せず、130万円を超えても心配いりません。しかし、そのほかの理由で一時的に収入が増えることもあるでしょう。 昨年からは一時的に収入が130万円を超えても社会保険の扶養から外れることなく働けるようになりました。厚生労働省の「年収の壁・支援強化パッケージ」により、事業主の証明があれば引き続き被扶養者として認定されるためです。 被扶養者認定を受けるには、事業主が所定様式に従業員の一時的な収入変動について記載し、健康保険組合などに提出します。これにより、あくまで一時的な収入増であることが認められ、年収が130万円を超えても社会保険に加入する必要がなくなるのです。 なお、認定を受けるには、労働時間の延長などによる収入変動がなければなりません。そのため、調整給付金で年収130万円を超えてしまった場合は、「繁忙期に正社員を手伝う」「退職者の穴埋めをする」などして、一度130万円の壁を気にせずに働くとよいでしょう。労働時間が延びることで、結果的に手取り収入増につながります。 また、事業主の証明による被扶養者認定は原則年1回、連続2回までしか利用できません。何年も連続して利用できるわけではない点に注意しましょう。