生き残るのはどこ?!清水、徳島、湘南の熾烈なJ残留争いはついに12.4最終節で決着へ
J1残留をめぐる湘南ベルマーレ、清水エスパルス、徳島ヴォルティスの熾烈な三つ巴の争いは決着がつかないまま、12月4日の最終節を迎えることになった。 明治安田生命J1リーグ第37節の10試合が27日にいっせいに行われ、残留圏の15位・湘南のホームへ乗り込んだ降格圏の17位・徳島が、0-0で迎えた後半21分に周到に用意したセットプレーを発動。MF岸本武流が値千金の決勝点をあげて執念の連勝をマークし、順位こそ変わらないものの、奇跡の残留へ望みをつないだ。 浦和レッズのホームに乗り込んだ残留圏の16位・清水は、スコアレスドローが濃厚になった後半アディショナルタイムに、途中出場のMF中村慶太が豪快なミドルシュートを一閃。今シーズン初の連勝をマークし、湘南を抜いて15位に浮上した。 勝ち点39の清水を同36の湘南と徳島が追い、さらに得失点差で湘南が徳島を大きく引き離した状況で、最終節は清水がホームでセレッソ大阪、湘南が敵地でガンバ大阪、徳島がホームでサンフレッチェ広島とともに午後2時のキックオフで対戦する。
徳島が“アナリスト力”で湘南に執念勝利
わずか5秒間に徳島がすべての神経を集中させた。 後半21分に獲得した2本目のコーナーキック。キッカーを務めるキャプテン、MF岩尾憲はボールをセットしてから5秒後に左コーナーエリアから右足を振り抜いた。 前半30分の1本目を振り返れば、3倍となる15秒を要していた。意図的に早くプレーを再開させた徳島は、湘南との直接対決へ向けて周到に用意してきたデザインプレーの封印を、決戦当日になって伝えられた修正を加えた上で満を持して解いた。 J2を戦っていた2016シーズンから対戦相手の分析を担当し、セットプレーで優位に立つ準備を整えてくれた前迫雅人コーチへ、岩尾は真っ先に感謝の思いを伝えた。 「徳島には前迫という優秀なアナリストがいます。常に相手の穴やウィークポイントを研究し、セットプレーの練習で僕たちに提示してくれる。あとは僕たちが試合で体現できるかどうか。練習ではゴールを決められなかったけど、今日は上手くいった」 前迫コーチから伝えられたのは素早く、なおかつタイトにマークしてくる湘南の守備方法。それを逆手に取る形でゴール前の2人に加えて、ニアサイドに5人の選手を配置。岩尾が蹴る瞬間に、その5人がいっせいにボールサイドへポジションを移した。 分析通りに湘南のマーク役も食いつき、必然的にファーサイドに広大なスペースが生じる。そこへ走り込んできたのが、はるか後方で気配を消していたMF宮代大聖。ノーマークの状態からダイレクトで右足を振り抜き、強烈な一撃をゴール右隅へ見舞った。