生き残るのはどこ?!清水、徳島、湘南の熾烈なJ残留争いはついに12.4最終節で決着へ
東京五輪でゴールマウスを守り、アジア最終予選を戦う森保ジャパンにも招集されている21歳の若き守護神、谷晃生が横っ飛びでセーブするもボールがこぼれる。しかし、デザインプレーに動揺した湘南の守備陣形は、混乱をきたしたままだった。 真っ先にボールへ詰めたのはゴール前にいた岸本。ミッドフィールダー登録ながら右サイドバックで躍動する24歳は背後からユニフォームをつかまれ、バランスを大きく崩しながらも執念で左足をヒット。待望の先制点を徳島にもたらした。 「大聖が素晴らしいシュートを打ってくれて、心のなかで『こぼれてこい』と願っていたら……最後は気持ちで押し切った感じです」 ピッチ上に倒されて仰向けになりながら、ガッツポーズを繰り出した岸本が声を弾ませた。均衡を破った完璧で美しい連動に関して、岩尾は「実は前日のコーナーキック練習では、もう少しボールをセットした状態で行っていた」と舞台裏を明かす。 「ただ、セットする時間が長くなると、セットプレーに対してアラートな湘南さんに気づきにつながる時間を与え、狙いがばれてしまうかもしれないという話が前迫コーチからあった。なので早くオーガナイズして、素早くボールを入れる修正を今日入れた。そういったところでも、前迫コーチの分析力が得点につながったと思っています」 宮代の存在を隠し通すためにも、岩尾はすぐに左コーナーキックを蹴った。3倍の時間をかけた前半の1本目も、ある意味では後半の勝負どころをにらんだ布石だった。 ともに残留がかかった直接対決は、ミスを犯したくない気持ちの方がどうしても勝る。岩尾という正確無比なキッカーを擁し、その上で我慢比べのような展開になるほどセットプレーの重要さが増すと読んだ徳島の戦略が価値ある白星を手繰り寄せた。 敵地レモンガススタジアム平塚で徳島が勝利の雄叫びをあげたほぼ同じ瞬間に、さいたまスタジアムで浦和と戦っていた清水にも待ち焦がれた瞬間が訪れた。