生き残るのはどこ?!清水、徳島、湘南の熾烈なJ残留争いはついに12.4最終節で決着へ
ともに無得点で迎えた後半アディショナルタイム。ペナルティーエリアの左角あたりまで攻め上がった、JFA・Jリーグ特別指定選手のDF山原怜音(筑波大学在学中)から横パスを受けた中村が、トラップから間髪入れずに右足を振り抜いた。 ペナルティーエリアのやや外側から放たれた強烈な一撃は、アウトサイドにかけられたがゆえに鋭い弧を描きながら浦和ゴールの左隅、しかも最上部へ突き刺さった。 けがに苦しんできたなかで決めた今シーズン初ゴールで、実に8年半ぶりとなる浦和からの勝利をもぎ取ったヒーローの中村が、控え目な口調で衝撃的な場面を振り返る。 「トラップして時間を置いたらブロックされると、パスを受ける前から感じていた。なので、トラップからワンステップでシュートを打とうと決めていた。チーム全体が一体感を持って戦った結果が、たまたま自分のゴールにつながったと思っています」 同時間帯で行われている湘南対徳島の経過は首脳陣だけに伝えられていた。徳島が先制した一報ももたらされたなかで、日本代表GK権田修一を中心に無失点でしのぎながら、平岡宏章監督は「一発のチャンスがあれば」と交代のカードを切り続けた。 後半開始からドリブラーのMF中山克広を、同33分からは「彼のテクニック、攻撃的なセンスをどこかで」と中村を投入。アディショナルタイムに入って山原、FWディサロ燦シルヴァーノを同時にピッチに送り出し、ついに決勝点をもぎ取った。 スペイン出身のミゲル・アンヘル・ロティーナ前監督に代わり、コーチから昇格して3戦目。初陣こそ引き分けたが、広島、浦和から今シーズン初の連勝をもぎ取り、三つ巴の争いのなかで唯一、自力で残留を決められる位置にまで清水を浮上させた平岡監督は「終了の笛とともに、次への準備は始まっている」と前を見すえる。 「まだ何も決まっていない。こういう状況に追い込んだのは自分たちなので、最後は笑って終えられるように頑張ろう、という話を選手たちにはしました」