新年に始めたい!「感謝日記」でモチベーションを呼び起こす
仕事でも勉強でも、何かに取り組むうえで重要になる「モチベーション」。近頃、研究によってポジティブなマインドやモチベーションの向上と維持の根底に必要なのは、単なる気合や迷信ではなく「感謝感情(感謝の気持ち)」だということが科学的に解明されてきたそう。その感謝感情に目をむける手軽な方法が「感謝日記(グラティチュードジャーナル)」。今回は、その研究に携わる立命館大学 グローバル教養学部 教授の山岸典子さんにお話を伺いました。 【画像】メンタルヘルスを整えるアイデアまとめ
モチベーションが高まる「感謝日記」とは?
──ポジティブにモチベーションアップがはかれるとウワサの「感謝日記」って何ですか? 山岸先生:モチベーションアップに効果がある、なんて聞くとどんなものなんだろう? と思う人もいるかもしれませんね。ただ「感謝日記(英語ではグラティチュードジャーナル)」自体は、非常にシンプルな取り組みで、文字通り日記を“書くだけ”。しかも、その日の出来事を色々と綴る必要はなくて、みっつくらい箇条書きで「今日の感謝」を記すのみです。 例えば、“おいしい料理を食べた。食にかかわってくれたすべての人に感謝”とか“待ち合わせに遅刻したけれど、友達が待っていてくれた。ありがとう”とか、“天気がよくて心地よかった、お日様ありがとう”とかネタは本当になんでもかまわない、純粋に今日の感謝に注目するだけでいいんです。 ごくシンプルに言えば、その「感謝する」という行為によって、モチベーション数値(活力や意欲)が上がって、非モチベーション数値(無気力)が減るということが科学的にわかってきたんです。それこそが「感謝日記」が話題になってきた理由ですね。 ──いざ何かを頑張ろうと思ってもモチベーションをあげて、さらにそれをキープし続けることって想像以上に難しいと感じます。とはいえ「感謝日記」によってモチベーションマネジメントができるとなると、続けることに意味があるのでしょうか? 山岸先生:「感謝日記」を実施する期間は、2週間で十分。「感謝日記」をつける期間とそれによるモチベーションアップ、活力向上のデータもとりながら実験していますが、長くやりすぎてもかえって“感謝疲れ”してしまう人もいるし、実験結果から考えても2週間がおすすめです。多少の個人差はありますが、研究結果からも「感謝日記」2週間の実施で、大体3カ月後まで高めたモチベーションを維持できることがわかってきています。 私の学生たちには、各学期の始めに2週間「感謝日記」を実施してもらっていますが、そうするとちょうどその1学期間中、高めたモチベーションが持続できている様子です。 ──「感謝日記」に取り組んでいるときだけでなく、その後も一定期間モチベーションを維持できるのはうれしいですね。 山岸先生:学生なら各学期ごとの始め、社会人だったら3~4カ月ごとに、1回2週間の「感謝日記」を行うのがよさそう。日記をつけるノートやペンはなんでもOK、スマートフォンのメモ機能とか日記アプリでも問題ないです。今、感謝日記のためのアプリも開発中(※)なんですよ。 ただ、数日分のまとめ書きだと効果は半減。実施期間中の2週間は1日1回記録していくのがポイントです。1日1善的なイメージで、普段見落としがちな感謝感情に目をむけていきましょう。 これから頑張っていきたいことがあるときはもちろん、頑張りたいのに頑張れない…とモヤモヤしているときにも、「感謝日記」があなたの活力アップの手助けになるかもしれません。 ※アプリは山岸先生が主となり研究成果を元にした仕様で、プログラマーとタッグを組んで目下開発中(2024年12月現在)。