新年に始めたい!「感謝日記」でモチベーションを呼び起こす
感謝でポジティブマインドを根付かせる
──感謝によって意欲的になるだけでなく、相乗効果として心理的ウェルビーイングも得られるんですね。 山岸先生:心理的ウェルビーイングには大きく分けて2パターンあります。ひとつは「今、うれしい」という感覚で、もうひとつは「今はつらいけど、将来嬉しい(先に希望を見出せる)」という感覚です。感謝は主に後者に作用するのでは、と言われています。 「感謝日記」をはじめとするグラティチュードなアプローチをきっかけに、見過ごしていた感謝感情に目をむけて、さらにそれを書き留めることで「自分の中にこんな気持ちがあったんだな」と具体的な気づきになるでしょう。 さらにその感謝感情に向き合い、大切にcultivate(耕す、磨く)してあげることで、仮に現状ややつらい状況下にあったとしても未来に希望を見出し、“自分は今少し大変だけど、頑張れそう”と思うことができるから、結果的にモチベーションや意欲・活力がアップしていくのでしょう。 ──前向きさってもはや性格的なものだろうと思っていましたが、「感謝日記」によってマネジメントすることができそうですね。 山岸先生:自分の根底の部分から、ポジティブマインドを呼び起こすことができると、さまざまな部分で自分の考え方やとらえ方にも変化が出てくるので、今、この瞬間だけのことではなく、徐々にポジティブさが根付いて、より好循環な人生を送ることへとつながっていくことでしょう。 たとえ、仕事や学習などのモチベーションアップで始めた「感謝日記」だったとしても、それにより得た心理的ウェルビーイングは、当初の目的以外の場面でも発揮され、私たちの人生そのものをよりよく、ハッピーに導いてくれるはずです。 まずは2週間、毎日意識して「今日の感謝」を見つけてみましょう。 立命館大学 グローバル教養学部 教授 山岸典子 認知神経科学を専門とし、昨今はポジティブ心理学や視覚注意といった人の認知や意識と関係の深いメカニズムを研究中。感謝感情とモチベーションの関係性をはじめ、科学に基づくウェルビーイングな行動や考え方を提唱する。趣味はコーヒーで、1日1回は自分で豆を挽き、ハンドドリップしていただくのが楽しみ。いちばん好きなコーヒーショップは、京都の名店「カフェ・ヴェルディ」。 イラスト/藤原琴美 構成・取材・文/鈴木涼子