今年こそ「新しい趣味」をみつけるべき理由 落ち着いたらゆっくり…という大きな誤解
新年を迎えるにあたり、人はしばしば「今年の目標」なるものを掲げる。その中でも比較的多いのが「新しい趣味をみつける」というもの。日々の生活に活力を与え、健康寿命を伸ばす効果もあるとされる趣味。しかし、結局なにも新しい趣味を見つけられぬまま翌年また同じ目標を……というのも、またよく耳にする話である。作家で国文学者の林望氏は、と趣味を探さない人に対し、“覚悟”の必要性を説く――。 (前後編の前編) *** ※この記事は『結局、人生最後に残る趣味は何か』(林望著、草思社)の内容をもとに、一部を抜粋/編集してお伝えしています。
「定年後は趣味三ざん昧まい」という大きな誤解
今、仕事や育児、介護などに追われている人の多くは、「忙しくて、趣味の時間どころではないよ」「まあ、定年になったら、思う存分趣味に情熱を注ぎたい」などと考えているかもしれません。 しかし、「今より自由な時間が増えたら趣味を楽しもう」という発想は大きな間違いです。「暇有るを待ちて書を読まば、必ず書を読むの時無けん」という箴言もあります。 いつか暇ができたら……というのは、自分の怠慢に対する言い訳のようなもので、世の中では、忙しい人ほど、案外に豊かな趣味生活の時空を確保していたりもします。ですから、今日のわずかな時間をも無駄にせず、努力して趣味にあてる、という発想に今すぐ転換する必要があります。 もう少し具体的に考えてみましょう。仮にいま、会社員として仕事をしている人のことを考えてみると、一日少なくとも8時間程度を会社に拘束されていることだろうと想定されます。 そこで、24時間から8時間を差し引き、さらに通勤時間や食事などの生活時間、睡眠時間などを引いていくと、自由に使うことができるのは、せいぜい2時間程度でしょうか。 もし職住接近で、通勤時間がごく少ないのであれば、もう少し趣味にあてる時間を確保できるかもしれませんが、多くの人は、そういうわけにもいかないことでしょう。また、子育てに追われている人や、年老いた親たちの介護をしている人ともなれば、1時間を作るのもやっとかもしれません。 重要なのは、そのわずかな時間をどう使うかです。お酒を飲んでストレスを解消しようと思ったら、趣味を楽しむのは不可能です。アルコールを口にすれば、酔って何もできなくなり、もはや趣味どころではなくなります。一日で自由に使える時間は、たった1、2時間なのですから、この時間を何よりも優先すべきです。