今年こそ「新しい趣味」をみつけるべき理由 落ち着いたらゆっくり…という大きな誤解
自分をコントロールする管制塔が脆弱になっていないか
角野隼斗さんというピアニストがいます。角野さんは、プロのピアニストでありながら、東京大学大学院で研究者を目指していたという経歴の持ち主。ショパン国際ピアノコンクールに出場するなど、学問とピアノの二刀流で活躍し、現在は国内外で音楽活動を行っています。彼のように、二つのキャリアをプロレベルで両立している人が世の中には一定数存在します。 普通の人にしてみれば、「どうしてそんなことができるのか」と疑問に思われることでしょう。しかし、誰だって一朝一夕に二つのキャリアを両立できたわけではありません。睡眠時間を削ってでも、毎日孜々(しし)として学問と芸術に時間を注ぎ、それを何年も続けてきたからこそ、両方の世界でプロレベルに到達できたのです。 世に出るような人には、もともとの才能はあったのでしょうが、才能だけで物事は成就しません。それなりのレベルを目指そうと思えば、才能に加えて十分な努力が求められます。そうして、その努力をする上できわめて重要なのが、タイムマネジメントです。 自分自身の頭上に、自分をコントロールする管制塔のようなものを持ち、絶えず自らの時間の使い方を律するということです。管制塔の機能が弱くなると、「会社帰りに、ちょっと一杯飲んで帰ろうか」とか、「まあ、とりあえずテレビでも見よう」とかいうことになります。 会社の昼休みに食事を終えた後、漫然とさしたる意味もなく、スマホを見続けるというのも、この管制塔の機能が脆弱になっている証拠です。そもそも、会社で忙しく仕事をしているという生活の中でも、業務から外れるところでは、かならず自分の時間を確保する、という「覚悟」を持つことが肝心です。 この覚悟がないと、自分の時間などあっという間に雲散霧消してしまいます。「何かを始めたい」と考えている人は、その希望を先延ばしにしないことです。「ピアノを習いたい、絵を描きたい」などなど、そういう願いがあるならば、どうか明日からといわず、今日ただいまから趣味を始めるくらいの意気込みを持ってください。