石破・菅・岸田3氏の発言ポイント 自民総裁選告示、立候補後の演説会
安倍晋三首相(自民党総裁)の後継を決める総裁選が告示された8日、立候補を届け出た石破茂氏(63)、菅義偉(よしひで)氏(71)、岸田文雄氏(63)の3候補が所信発表演説会を行った。 【動画】自民党総裁選 石破氏・菅氏・岸田氏が所信演説会 自民党総裁選は14日に投開票が行われ、新たな総裁を選出する。16日には臨時国会が召集され、次の首相を指名する予定。
【石破氏】
▼政治家とは何か 昭和60年夏。故渡辺美智雄元議員に「お前たちは何のために政治家を志すのか。先生と呼ばれたいのか。金が欲しいのか。そういう人は去れ。勇気と真心を持って真実を語ることだけが政治家の仕事だ」と言われ感動した。議員になるまで1年余りずっと車でテープを聴き続けた。 ▼自民党とは (自民党は)3年3か月、野にあった。新綱領を作った。自民党はかくあるべし。(1)勇気を持って、自由闊達に真実を語る政党であらねばならない(2)あらゆる組織と協議する組織であらねばならない(3)政府を謙虚に機能させる政党であらねばならない(4)すべての人に公平な政策を作る――。自民党は常にそういう政党であるか、胸に問いかけたい。 ▼平成で失われたもの 令和の政治を語るときに、平成とは何であったのかを考える。 3つのことが大きく変わったのが平成の30年。 (1)戦後が終わった。故田中角栄元首相は「あの戦争に行った奴が日本の中心にいる間、日本は大丈夫だ」と語った。 (2)民主主義が終わった。大勢の人が参加でき、正しい情報が出され、少数意見が大切にされなければならない。 (3)資本主義が終わった。株価は上がった。有効求人倍率は全ての都道府県で1を超えた。ただ、格差が拡大し、一部の人に利益が集中していないか。東京一極集中が進んでいないか。地方、農林水産業、女性、サービス業。持てる力を最大限に引き出さねばならない。 ▼コロナ、守るべきは社会 感染者は増加しているが、重症者は増加していないから医療現場はひっ迫していないという認識に私は立っていない。コロナに対応する医療関係者は命がけ、ストレスを抱え、収益は悪化している。最大限の支援をしないといけない。 医療か経済の二者択一でなく、守るべきは社会。経済的支援の拡大と、強制力をともなった措置の導入。 ▼特措法 感染が収束されたら特措法の改正を行う。その立場に私は立たない。早期収束のために特措法の改正をする。 ▼「防災省」創設を 防災省は必要だと心から信じる。日本全国の自治体それぞれで防災の体制が違っていいのか。知識は伝承継承されるべき。優秀な方が各省庁からやってきて2年でかえる。どう伝承されるのか。どこにあっても同じ体制。24時間365日防災を考える。縦割りを排する必要がある。 ▼東京一極集中、是正を 地方が亡び、政治、文化、メディアの中心は東京。食料、電力をつくらず、出生率は全国最低。鉄道が発達、道路が発達。情報網が発達するほど、東京一極集中がなぜ進むのか。東京一極集中は人為的に行われた。東京の負荷を減らさないといけない。 ▼憲法改正、先頭に立って議論を 平成24年の自民党憲法改正草案をもう一度みんなで読もう。なんで政党の役割が憲法に記されていないのか。自民党は日本国の中心として日々努力している。最大限の自由が保障されないとならない。党の金をどのように使われたのか。国民に示す。政党法の制定が必要。 合区の解消に取り組むべき。最高裁判所裁判官。この仕組みで三権分立は成り立つのか。法律で定める必要がある。 自衛隊は国の独立を守るためのもの。行動は全て国際法に則って行動するのは当然。最強の組織であればこそ、司法立法行政による厳格な統制が必要。 憲法改正が、国民が決めるものである以上、我が党は先頭に立って議論を深め一刻も早く取り組むべき。 ▼グレートリセットを 今回「納得と共感」を掲げた。「そうだね」と国民が言ってくれる、「一緒にやろう」と言ってくれる。いまこそ納得と共感の政治をやりたい。成し遂げたいのはグレートリセット。もう一度この国の設計図を書き換える事。そうしないと、この国は次の世代を生き延びることができない。国の在り方をみなさんと考え直し、作り直していきたい。 国民は政治を信じていないかもしれないが、我々は国民を信じている。国民を信じない政治家は国民から信じられるはずがない。