石破・菅・岸田3氏の発言ポイント 自民総裁選告示、立候補後の演説会
【岸田氏】
▼聞く力 2009年、(自民党は)野に下った。悲惨だった。当選できたのは119人。半分以上の同志が涙を呑む結果となった。野党時代、当時の谷垣総裁は「生声プロジェクト」を立ち上げた。山奥深く、あるいは離島であっても自ら足を運び、現地の人と少人数で意見交換を行う。こうした座談会を400回500回と繰り返して、多くの国民の声を直接聞き取る努力をした。こうした国民の声を聴く力をエネルギーに変えて、2012年、自民党は与党に返り咲き、第二次安倍政権がスタートし、7年8か月がスタートした。私はあのとき、政治における聞く力をエネルギーの大きさを改めて痛感した。 ▼安倍政権はレガシー残した 安倍総理が先日退陣を表明された。7年8か月の政権、特筆すべき時代だった。経済でも外交でも大きな成果を上げることができた。時代を大きく転換させた7年8か月だった。数々の輝かしいレガシーを残された。いままでこれまで海外から評価された総理があっただろうか。7年8か月にわたって、国家国民のため、孤独に努力されたことに改めて敬意を表したい。 外相、政調会長として関わった。「チーム安倍」の一員として働けたことを誇りに思っている。残された成果、輝かしい成果を土台として、次の時代を考えていかなければいけない立場。 ▼医療・経済両方のためにPCRを いま襲い掛かっているのが新型コロナウイルスの猛威。医療崩壊を防ぎ、事業、雇用を守る。感染症対策と経済対策を車の両輪として回す。医療におけるPCRと経済社会を回すためのPCRをしなければならない。医療機関の経営を安定化させなければならない。230兆という世界最大規模の経済対策を用意した。事態に機動的に対応しなければならない。 日本だけでなくて、世界で大型の財政出動を行っている。金利はなかなか上げることができない。こういう状況では、必要であるならば思い切った財政措置を考えないといけない。 ▼経済で「格差」 我が国がもつさまざまな課題も浮かび上がってきた。例えば、経済。アベノミクスで間違いなく、経済の成果が得られた。GDP、企業収益、雇用、どれをとっても大きな成果が出た。しかし、成長の果実、いつか所得の中間層へ、いつか中小企業・零細企業へ、いつか地方へ、こうした課題があった。格差の問題。向き合わないといけないのではないか。税制等の分配で考えないといけない。 ▼資本主義を再考する 中間層の支援も世界各国の課題として浮かび上がっている。最低賃金の引き上げも考えないといけない。資本主義そのものも考えないといけない。そういう時代に来ている。新自由主義が批判され始めて久しいが、いまSDGsなどが世界的に注目されている。改めて人にやさしい、持続可能な資本主義を考えていかないといけないのではないか。 資本と労働。金と人。これが大きな要素だと言われている。カネではなく、人に注目し、分配を考えていく。 ▼成長戦略を 経済においては、財政と金融、二つのエンジンで経済の成長を引っ張ってきた。成長戦略のエンジンをふかしていかないと成長を維持することが出来ないのではないか。21世紀の石油と言われるビッグデータや、5G(を考える必要もある)。 地方と中央の格差が問題としてあったがコロナ禍でテレワークなどが普及し、東京や大都市にいなくても働ける、医療・教育を受けられることを日本人は実感した。過度の東京や大都市への集中は感染症との闘いでも問題だ。意識が広がっているいまこそ、地方にチャンスが回ってきた。 ▼「田園都市構想」×デジタル 40年前、田園都市構想を大平総理が打ち出した。田園に都市の便利さを、都市に田園の豊かさを、と。こうした個性あふれる都市を全国に作ろうという構想だった。(再度考える)チャンスなのではないかと思う。官民挙げてのデジタル化。省庁の垣根を取り払う。民間にも広げていく。その上にデータが乗ってこそ成果につながる。制度の、組織の名前はさまざま。デジタル「DX推進委員会」、データは「データ庁」を考えてもいいのではないか。 ▼外交、存在感ある国目指す 外交について日米関係、日中関係。これはともに大事。世界では分断が進む。保護主義、自国第一主義、あるいはブロック経済。こういったものが進む中で、日本のように資源がなく、島国で、人口が減少する国が生きていくには、2国間はもちろん大事だが、マルチ外交が大事になってくるのではないか。自由と民主主義という基本的価値を共有する国々と環境、エネルギー、平和にしっかり取り組んでいく外交。そのなかで、日本というような国は存在感を示し、大事だと言ってもらえる国を目指す。これが、分断が進む国際社会における日本が生きる道ではないか。 ▼分断から協調へ 分断から協調へと言っている。こうした課題を解決するためには、国民の協力なくして結果を出すことはできない。国民の協力を引き出すことが求められている。政治の信頼と政治の聞く力を取り戻さないといけない。国難のこういったときだからこそ、保守の政治が重要になってくる。徹底的な現実主義に基づいて、変えるところは変えていく。これができるのが自民党だけだと訴えないといけない。