石破・菅・岸田3氏の発言ポイント 自民総裁選告示、立候補後の演説会
【菅氏】
▼「猶予なし」で立候補決意 第二次安倍内閣発足以来、官房長官として日本経済の再生、外交安全保障の再構築、全世代型社会保障制度など重要課題に取り組み、今年に入ってからはコロナウイルス感染症拡大に真正面から取り組んできた。こうした中で、陣頭指揮をとってきた安倍総理が道半ばで退かれることとなった。 国難にあって政治空白は許されず、一刻の猶予もない。この危機を乗り越え、全ての国民が安心できる生活を1日も早く取り戻すことが出来るために、一人の政治家として、安倍政権を支えてきた一人として何ができるか熟慮してきた。そして立候補する決意を固めた。 ▼安倍政策の継承 安倍総理が進めてきた政策を継承し、さらに前に進めたい。 最優先の課題は新型コロナウイルス対策。何としても欧米諸国のような爆発的な感染拡大は阻止する。そして国民の命と健康を守る。そのうえで、社会経済活動との両立を図っていく。検査体制を拡充し、必要な医療体制を確保していく。来年の前半までにすべての国民にワクチンが行き渡ることができるよう確保を目指す。 同時に、厳しい経済環境の中で雇用を守り、事業継続することが最優先。最大200万円の持続化給付金、無利子無担保融資を必要な人に行き渡らせたい。Go Toキャンペーンでも、感染対策を講じることを前提に、多くの方を支援していく。躊躇なく対策を講じていく。 ▼「普通な人間でも努力すれば総理に」 雪深い秋田の農家の長男として生まれ、地元で高校まで。農家を継ぐことに抵抗を感じ、就職に東京に出てきた。町工場で働いたが、2年遅れて法政大学に。いったんは民間企業に就職したが、もしかしたら国を動かしてるのは政治ではないかと思い、縁あって、議員秘書になった。26歳の時。 市会議員に38歳で当選。市民の声に応えるためには地方分権を進めなければならない。そういう思いで国政を目指し、47歳で初当選。まさに知縁・血縁のないゼロからのスタートだった。 いま、私はここで、自民党の総裁選に立候補し、みなさんを前に所見演説しているが、五十数年前に上京した際に、今日の自分の姿をまったく想像することができなかった。私のような普通の人間でも、努力をすれば総理大臣を目指すことができる。まさにこれが日本の民主主義ではないか。 ▼国民感覚からかけ離れたこと多い 世の中には、国民の感覚から大きくかけ離れたものが数多くあたりまえでないことが残っている。例えば、赤坂の迎賓館。総務大臣になって初めて入った時に田舎の両親に見させてあげたいと思ったが、年間10日しか開かなかった。官房長官になってすぐに、公務で使っていないときは開放するよう指示した。いまは年間270日以上開放している。 ▼ダムでも縦割りに切り込み (従来、)事前放流できるダムは国交省所管のダムだけだった。同じダムでも経産省、農水省は事前放流できなかった。見直しを行うことで、全国のダムで事前放流できるようになった。その量は2倍。今回の台風災害でも事前放流で下流の水位を下げることができた。 高すぎる携帯料金。大手三社は寡占状態で、20%の営業利益を上げ続けている。既得権益を取り払い競争がはたらくようにさらに改革を徹底したい。現場の声に耳を傾け、何が当り前か判断し、大胆に実行する。私の信念は変わらない。市会議員時代も、国会議員になってからも、地方を大切にしたい、日本のすべての地方を元気にしたいという気持ちが脈々と流れている。 ▼官僚押し切った「ふるさと納税」 地方から都会に出てきた人の多くは、生まれ育った故郷に何らかの形で貢献したい、絆を保ち続けたい、そう思っているに違いないと考え、自ら温めていた「ふるさと納税」を官僚の大反対を押し切って成立させた。いまでは多くの国民に利用してもらっている。 また官房長官として、力強く進めてきた外国人観光客、農産品の輸出の促進、最低賃金の全国的な引き上げなども地方を活性化したい思いから。 ▼政権奪還後、経済安定 私たちが8年前に政権を奪還して以来、安倍政権で一貫して取り組んできたのは経済再生。金融緩和、財政出動、成長戦略。さらなる改革をする。政権前は1ドル70円台、株価は8000円台。厳しい状況だった。現在はコロナ禍にあってもマーケットは安定している。また、人口減少の中で、就業者数は400万人以上増えた。下落し続けてきた地方の地価は上がった。 ▼「デジタル庁」構想 新型コロナ対応で浮き上がったデジタル化の必要性、解禁されたオンライン診療は続ける必要がある。行政のデジタル化にマイナンバーカードは不可欠だが、普及が進んでいなかった。できることから前倒し措置する。複数の役所に分かれることを強力に進めるために「デジタル庁」を新設したい。 ▼日米同盟基軸、近隣国と安定的関係 外交、安全保障。我が国を取り巻く環境が一層厳しくなるなか、機能する日米同盟を基軸とした政策を展開する。国益を守りぬく。そのために自由で開かれたインド太平洋を戦略的に推進するとともに、中国を中心とする近隣国と安定的な関係を構築する。戦後外交の総決算を目指し、拉致問題に向けた取り組みに全力を傾ける。 ▼憲法改正 憲法改正は、自民党はすでに4項目のたたき台を提示している。各党がそれぞれの考え方を示したうえで、与野党の枠を超えて建設的議論をすべき。 ▼待機児童問題に終止符を 少子化対策、昨年から幼稚園、保育園、大学、専門学校の無償化を進めている。保育サービスを拡充し、待機児童問題に終止符を打ちたい。不妊治療への保険適用を実現する。安心して子どもを産み育てる社会。環境を整備する。 ▼行政の縦割り・既得権益・前例主義、打破に挑戦 目指す社会像は、まずは自助、共助、公助、そして絆であると考える。自分でできる事はまず自分でやってみる。そして家族地域で助け合う。そのうえで政府が責任をもって対応する。そうした、国民のみなさんから信頼される政府を目指したい。目の前の道は決して平坦ではないが、私が自民党総裁になった暁には行政の縦割りを打破し、既得権益を取り払い、悪しき前例主義を排し、規制改革を全力で進める。国民のために働く内閣を作りたい。