井上尚弥の米ラスベガス上陸は異例尽くし…1億ファイトマネー、「完璧調整」、4団体統一戦構想
プロボクシングのWBA世界バンタム級スーパー王者、IBF世界同級王者の井上尚弥(27)が所属する大橋ジムの大橋秀行会長(55)が5日、オンライン取材に応じ、約1年ぶりとなる防衛戦のファイトマネーが異例の100万ドル(約1億500万円)で、新型コロナウイルスによる自粛期間にさらなる進化を遂げていること、そして2021年に4団体統一を狙うことを明らかにした。井上尚弥は31日(日本時間11月1日)に米国ラスベガスのMGMグランド内の特別施設“ザ・バブル”でジェイソン・マロニー(29、豪州)と防衛戦を行う。
辰吉の最高額に近づく
金額が異例なら“発表“も異例。 「ファイトマネーについて話した方がいいのかな?」と自ら切り出した大橋会長は、約1年ぶりとなる井上尚弥のファイトマネーが100万ドル(約1億500万円)であることを明らかにした。 「カシメロ戦が100万ドルだった。相手が変わり無観客。30パーセントから50パーセントダウンになっても仕方がないなと思っていたが、そのままだった。この状況下での100万ドルは考えられない凄い金額」 当初、4月25日にラスベガスで予定されていたWBO世界同級王者、ジョンリル・カシメロ(フィリピン)との統一戦のファイトマネーは100万ドル(約1億500万円)だった。しかし、新型コロナの影響で無観客試合となったことで、状況は変わりカシメロサイドも、減額をオファーされたことで、井上尚弥戦を蹴り、ライバル興行であるPBC(プレミア・ボクシング・チャンピオンズ)に鞍替えして9月26日に防衛戦を行っている。 だが、契約しているトップランク社の評価は、井上尚弥だけは変わらなかった。過去の日本人のファイトマネーの最高額は、約3億4000万円での入札となった辰吉丈一郎と、薬師寺保栄のWBC世界バンタム級王座の統一戦で両サイドに支払われたとされる1億7000万円。実は、WBA世界ミドル級王者の村田諒太(帝拳)が、その金額を超えるファイトマネーを手にしているらしいが、公式にはアナウンスされていない。 米のボクシング興行では、アスレチックコミッションが公開するためファイトマネーについてはガラス張りになっているが、日本では表に出さない”暗黙の慣例”がある。だが、大橋会長は、今回、そのタブーを破った。そこには、新型コロナの影響で停滞しているボクシング界に夢を与えたいとの狙いがある。 「スタートが100万ドル。ここから、いい試合で勝っていけば(ファイトマネーは)上がっていく。日本人ボクサーではありえない、子供たちに夢を与える金額の世界にいく」 井上尚弥も、以前、筆者の取材に「人々に夢を与えるような金額は稼ぎたい。最低2桁」と、1試合10億円以上の目標金額を口にしたことがある。 本場米国での評価が上がり、PPV(有料放送)、或いは、定額制の配信サービスでメインを張れるようになれば、その金額到達も夢ではないだろう。 今回の興行も井上尚弥の世界戦がメインイベントとして組まれ、ESPNで全米に放映される。