井上尚弥”ライバル”WBO世界王者カシメロが3回圧巻TKO勝利でV3成功…次の標的は?
ボクシングのWB0世界バンタム級タイトルマッチが26日(日本時間27日)、米国コネチカット州アンキャスビルの「モヒガン・サン・カジノ」で無観客試合として行われ王者のジョンリエル・カシメロ(31、フィリピン)が同級11位のデューク・マイカー(29、ガーナ)を3回TKOで下し3度目の防衛に成功した。カシメロは、当初、WBA世界同級スーパー、IBF世界同級王者の井上尚弥(27、大橋)と4月25日にラスベガスで3団体統一戦を戦う予定だったが、新型コロナウイルスの影響で試合が流れたため、PBC(プレミア・ボクシング・チャンピオンズ)のリングに戦いの場を変え、今回の防衛戦を行い、圧巻のTKO劇で存在感を示した。井上は10月31日(日本時間11月1日)に米国ラスベガスで無観客試合でジェイソン・マロニー(29、豪州)と防衛戦を行う。カシメロの戦績は30勝(21KO)4敗となった。
左アッパーが炸裂
ど迫力のTKO勝利だ。 カシメロは新型コロナで試合ができなかった期間の鬱憤を晴らすかのように1ラウンドの開始直後から強引にパンチを振り回す。右のストレートに、左右ボディを一発、一発、力を込めて打ち込んでいった。24戦無敗19KOのKO率を誇る挑戦者のマイカーはガードを固めて左ジャブを軸に警戒を強めることしかできない。 2ラウンドに、マイカーは主導権をとられまいとプレッシャーをかけたが、これが裏目に出た。高いガードを崩せないと見たカシメロは、強烈なボディ攻撃を続け、アウトサイドから左フックを思い切りスイングすると、その一撃でマイカーがぐらついた。半端ないパワーだ。フォローしたカシメロの右のパンチは、かすった程度だったが、左フックを効かされたマイカーはダウン。なんとか立ち上がったがまだ1分30秒以上時間が残されていた。 カシメロは猛ラッシュをかけた。途中、反撃するマイカーのパンチが空振りして、そのままスリップダウンしてしまうほどダメージは大きかったが、必死で持ちこたえた。カシメロも力んで仕留めきれずこのラウンド終了のゴングを聞く。 だが、もう時間の問題だった。 3ラウンドの開始前にはマイカーのダメージをドクターがチェック。再開のGOサインが出たが、右の大振りのパンチを外したカシメロがインサイドに潜り込み左アッパーを突き上げた。結果的には、このキレのあるアッパーがフィニッシュブローとなる。ふらふらになった挑戦者にカシメロが追撃したところでレフェリーが割って入ってTKO勝利を宣言。カシメロは、「まだ力が余っているぞ」とばかりに右手1本での片手腕立て伏せをリング上で何回も披露。3度目の防衛の成功の喜びを表現した。 挑戦者は椅子に座りうなだれていた。レコードは無敗だったが、カシメロのディフェンステクニックを度外視したパワーの前では、すべてが役不足だった。