どうなる?ジャマイカ戦が流れて急遽実現したA代表vs五輪代表の注目マッチ…重圧を受けるのは?
家族にたとえればA代表が“兄”でU-24代表が“弟”になる。しかも今回は、A代表でも主軸を担ってきた、頼れる“兄貴”たちがミャンマー代表戦後の5月31日からオーバーエイジとして“弟”に合流している。 3度目の五輪となる32歳のDF吉田麻也(サンプドリア)、2度目の五輪となる31歳のDF酒井宏樹(オリンピック・マルセイユ)、そして前回リオデジャネイロ大会でキャプテンを務めた28歳のMF遠藤航(シュツットガルト)を加えた、総勢27人のU-24代表は当初の予定を急きょ変更してA代表とともに札幌へ入った。 A代表戦から一夜明けた4日には福岡へ飛び、5日のU-24ガーナ代表との国際親善試合(ベスト電器スタジアム)に臨む強行日程にも、ボランチとして攻守の要を託される遠藤は「急な移動でしたけど、負担にはならない」とチームの思いを代弁した。 「A代表と試合ができることを楽しみに、モチベーションを高めている選手たちが多い。今回のオリンピックチームは2チーム分の選手がいるし、中1日でもメンバーを変えれば問題ないと思っています。逆に最終選考という意味でも、試合に出られるチャンスがひとつ増えたことに関しては全員がポジティブに感じています」 6月シリーズを終えれば、いよいよ東京五輪本大会に臨む代表18人が決まる。オーバーエイジを除けば15人の枠を24人で争う激戦だけに、図らずもアピールの場が増え、しかも相手がA代表という予期せぬシチュエーションが闘志をかき立てる。 6月シリーズでU-24代表を率いるのはA代表のコーチである横内昭展監督だが、本来ならばリモートでしか視察できなかった、本大会で指揮を執る森保監督の目の前でプレーできる。自然と気持ちがはやる状況で、遠藤は最も重視すべき点をこう見すえた。 「リオのときと比べればすでにA代表でプレーしている選手たちが多いので、僕たちオーバーエイジの選手も問題なくU-24代表に加われる。オーバーエイジが入って初めての試合になるので、相手がどうこうよりも、U-24代表としてどのような戦い方ができるのか。どちらかと言うと、そこにフォーカスすべきだと思っています」 ミャンマー戦に臨んだ陣容から、東京五輪世代とオーバーエイジを合わせた12人が離脱。先週末のJ1リーグ戦を戦った国内組10人が合流して再編成されたA代表でも、すでに進出を決めた9月開始予定のアジア最終予選、勝ち抜いた先に待つ来年秋のカタールワールドカップの代表入りへ向けた競争が新たに始まる。田嶋会長が続ける。 「勝ち負けがあるなかで、モチベーションもあって、トレーニングマッチなどでは下が勝つケースがけっこう多い。それでも今回はいい試合をせざるを得ない、という思いがそれぞれのチームの気持ちのなかにあるはず。どちらが勝った負けたというよりは、お互いにとってプラスになるという判断から決めてくれた森保監督に感謝したい」 オンライン取材に対応した選手だけではない。先輩の意地と貫禄を示したいA代表にはDF長友佑都(マルセイユ)やMF南野拓実(サウサンプトン)、そしてミャンマー戦で5ゴールをあげたFW大迫勇也(ヴェルダー・ブレーメン)らが顔をそろえる。 MF久保建英(ヘタフェ)や川崎トリオを軸に若さと勢いに乗るU-24代表には、オーバーエイジ勢が経験と重厚な存在感を加える。無観客の札幌ドームで繰り広げられる史上初のドリームマッチは、3日19時30分に注目のキックオフを迎える。 (文責・藤江直人/スポーツライター)