進む乳がん治療! 乳がんになっても、切らずに治せる時代が到来している【更年期女性の医療知識アップデート講座】
【ラジオ波焼灼療法・左から】 ①全身麻酔をして、皮膚表面から針のような電極をがんの内部に挿入し、ラジオ波帯(約472KHz)の高周波電流を流す。 ②がん細胞は焼灼、凝固され死滅する。 ③針を抜いて、絆創膏を貼る。治療は約10分だ。
●ラジオ波焼灼療法(ラジオ波焼灼システム)機器 ラジオ波焼灼療法(radiofrequency ablation therapy︓RFA)の機器(写真上)と電極針(電流を流す針)。体表面から乳房内の腫瘍を超音波で見ながら、写真のラジオ波電極針を刺し、ラジオ波焼灼を行う
治療が行えるのは、しこり1.5㎝以下でリンパ節他への転移のない早期乳がん
ただし、このラジオ波焼灼療法は、乳がんになった誰もが行えるわけではない。 この治療法が行えるのは、早期乳がんの人だけだ。ここでいう早期乳がんとは、腫瘍の直径が1.5㎝以下、腋窩(わきの下の)リンパ節転移、および遠隔転移がなく、がんが1カ所に限局している場合だ。 焼灼時間は10分程度で終了するとされている。術後には、これまでの乳房部分切除術後に行うのと同じように、通院による複数回の放射線照射治療が必要だ。 保険適用の費用は、3割負担で約4万5,000円(入院費ほかは別)。日本乳癌学会ではラジオ波焼灼療法の十分な知識や経験がある医師と治療体制が整った医療機関を選定し、ホームページにて順次公開している。 一般社団法人日本乳癌学会<https://www.jbcs.gr.jp/modules/elearning/index.php?content_id=35> 早期の乳がんなら、切らなくてすむ! 早期発見のためには、症状がある前に乳がん検診で見つけることがとても重要だ。1.5㎝以下のしこりは、触っただけでは見つけることが難しいといわれている。早期発見をして体と心に優しい治療をするためにも、今後ますます乳がん検診を定期的に受けるメリットが高くなる。ぜひ、2年に1回の乳がん検診を忘れずに受けよう!
取材・原文/増田美加 1962年生まれ。女性医療ジャーナリスト。約35年にわたり女性の医療、ヘルスケアを取材。自身が乳がんに罹患してからは、がん啓発活動を積極的に行う。著書に『医者に手抜きされて死なないための患者力』ほか。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員 イラスト/かくたりかこ