自民党総裁選 所見演説会(全文2)菅氏「自助・共助・公助、そして絆」
全ての地方を元気にしたい
そして災害対策のダムの活用です。台風が来る前に事前放流ができるダムは国交省が所管するダムだけでした。ところが同じダムでありながら、経産省が所管する発電用ダムや農林省が所管する農業用のダムは、この事前放流を行うことができませんでした。省庁の縦割りが原因だったんです。その見直しを行うことで全国のダムの事前放流をできるようにしました。その量はなんと従来の約2倍です。今回の台風10号でも九州を中心に75カ所のダムで事前放流を行って、下流の水位を下げることができました。 さらに例を挙げるならば、高過ぎる携帯料金、電話の料金です。公共の電波の提供を受けているにもかかわらず、大手3社は市場で9割の寡占状態を維持し、20%もの営業利益を上げ続けています。このような事業者の既得権益を取り払い、競争がしっかり働くようにさらに改革を徹底したいと思います。 現場の声に耳を傾け、何が当たり前なのか、見極めて判断をし、そして大胆に実行する。私の信念は今後も揺らぎません。私の中には横浜市会議員時代も、国会議員になってからも地方を大切にしたい、日本の全ての地方を元気にしたいという気持ちが脈々と流れております。この気持ちを原点として政策を実行してまいりました。 第1次安倍政権では当選4回で総務大臣に就任いたしました。地方から都会に出てきた人たちの多くは生まれ育ったふるさとになんらかの形で貢献をしたい、ふるさとと絆を保ち続けたい。そう思っているに違いないと考えて、自ら自分の中に温めておりましたふるさと納税を、官僚の大反対を押し切って成立させました。今では多くの国民の皆さまにご利用いただいております。 また官房長官として力強く進めてきた外国人観光客、いわゆるインバウンドや農産品の技術の促進、さらには最低賃金の全国的な引き上げなども、地方を活性化したい、その思いからであります。今後もこれらの取り組みを強化し、頑張る地方を応援するとともに、被災地の復興を支援してまいります。 私たちが8年前に政権を奪還して以来、安倍政権の中で一貫で取り組んできたのが経済の再生です。金融緩和、財政出動、成長戦略を柱とするアベノミクスは今後も継承し、さらなる改革を進めてまいります。政権発足前は1ドルが70円台、株価は8000円台、企業が経済活動を行うのが極めて厳しい状況でありました。現在はこの新型コロナウイルス感染症の中にあっても、マーケットは安定した動きを見せております。安倍政権発足以来、人口減少の中で就業者数は400万人以上増えました。そして下落し続けてきた地方の地価は27年ぶりに上昇に転じました。