自民党総裁選 所見演説会(全文3完)岸田氏「1人1人を輝かせるリーダーに」
自民党総裁選への立候補を届け出た石破茂元幹事長、菅義偉(よしひで)官房長官、岸田文雄政調会長の3候補は8日午後1時、所見発表演説会でそれぞれの政策を訴えた。 【動画】石破氏・菅氏・岸田氏が所信演説会(2020年9月8日) ※【**** 00:35:30】などと記した部分は、判別できなかった箇所ですので、ご了承ください。タイムレコードは「【自民総裁選】石破氏・菅氏・岸田氏が所信演説会(2020年9月8日)」に対応しております。 ◇ ◇
1993年の衆院選で初当選
司会:菅候補、大変ありがとうございました。最後に岸田文雄さんです。岸田候補、どうぞよろしくお願いいたします。 岸田:このたび自民党の総裁選挙に立候補いたしました、岸田文雄でございます。浅学非才ではございますが、全力、全霊、全身を懸けて、この選挙に臨んでいきたいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 そして冒頭、私からも先日の台風10号によって、被災された皆さま方、全ての皆さま方に心からお見舞いを申し上げたいと思います。土砂災害など、2次災害の危険もまだ残っております。警戒は緩めることはできませんが、こうした災害が次々と起こる時代に当たって防災、減災、あるいは国土強靱化3カ年計画など、こうした取り組みの実施、継続、拡充、こうしたものをしっかり進めることによって、国家百年の大計に立って、この防災についてもしっかり考えていかなければならない、こうしたことを強く感じます。 その上で所信について申し上げます。私が国会に議席を初めていただきましたのは、1993年、第40回衆議院選挙、日本国で最後に中選挙区制度で選挙が行われた選挙でありました。その選挙によって、私たち自民党は野に下りました。初めて野党を経験いたしました。
皆さんの声を聴き、政治のエネルギーに
そのときのこの自民党党本部の姿、私はついこの間のように生き生きと思い返すことができます。あのとき年末、予算のシーズンであるにもかかわらず、自民党の党本部、駐車場はがらがらでありました。受け付けの女性、あるいは守衛の皆さんも、手持ちぶさたの様子をされておられた。また時の幹事長はのちに総理大臣になられます森喜朗総理でありましたが、当時の森幹事長も、幹事長室で暇をもてあましておられた。そういった印象を大変、印象深く覚えております。 それからわれわれ自民党は16年後、再び野に下りました。このときの選挙の結果、これは誠に悲惨なものでありました。当選することができた議員、119名、半分以上の同志が涙を飲む大惨敗でありました。 この選挙の結果ののち、われわれ野党時代でありますが、当時の谷垣禎一自民党総裁は、「なまごえプロジェクト」というプロジェクトを打ち上げられました。要は全国会議員が山奥深く、あるいはどんな離島であっても自ら足を運び、現地の皆さんと車座になって少人数で徹底的に意見交換を行う。こうした座談会、400回、500回と繰り返して、多くの国民の皆さんの声を直接聴き取る、こうした努力を続けました。 こうした国民の皆さんの声を聴く力をエネルギーに変えて、そしてそのエネルギーでもって2009年、われわれ自民党は与党に返り咲き、そして第2次安倍政権がスタートをし、この7年8カ月の安倍政権時代がスタートをした、こういったことでありました。 私はあのとき、政治における聴く力のエネルギーの大きさ、これをあらためて痛感いたしました。そして翻って今、私たちの国は今どういった状況にあるのか。新型コロナウイルスとの戦いの中で、医療現場においては最前線で多くの関係者が大変な努力を続けておられる。また、多くの事業者があすの事業を維持できるのか、不安の中で懸命に努力を続けておられる。また多くの高齢者が医療や介護、こうしたサービスを受けられるのだろうか、不安に思っておられる。若者も将来の不安の中で、なかなか結婚に踏み切ることができない。あるいは子供を持ちたいと思っても、なかなか持つことができない家族がある。さまざまな悩みが、声が日本中にあふれています。 私は今、こうした日本において再び政治の聴く力、多くの国民の皆さんの声を丁寧にしっかり聴き、そしてそれをエネルギーに、政治のエネルギーに変える。こうした聴く力をしっかりと再確認をして、新しい時代に向かっていかなければならない、このように思います。