大事なのはSNSより現実社会ですから──プロボクサー那須川天心が語る「世間の声」との向き合い方 #今つらいあなたへ
「関係ないっしょ気持ちっしょ」の精神とは
気取らず、飾らず、まさに天真爛漫。ファンと一緒になって戦おうとする那須川には自分の口癖であり、ファンの間で支持されている言葉があった。 「関係ないっしょ気持ちっしょ」 「友達が何かの話で、いやもうダメかもしれないとか言ってくるんで、いやいや『関係ないっしょ気持ちっしょ』とずっと口にしていたら、それすごくいい言葉みたいに返されて。確かに、最終的には自分の気持ちが大切だよなってあらためて思ったというか。 何かいろんなところでその言葉で答えていたら、結構バズッたんです。学校の体育祭とかのスローガンにまでなっちゃったりして。ただ言葉だけが先行していったので、『関係ないっしょ気持ちっしょ』になるには、極意がありますよってことで個展をやろうかなって考えたんです」
5月に東京で、8月に大阪で通称“かんきも展”を開催した。ナントカナルサ、ユルセルツヨサ、ウツワノデカサ、ツヨサハヤサシサ……自分で伝えたい言葉を書き連ねた。あえてカタカナにしたのは「必殺技みたいにしたら子どもにも伝わりやすいかなと思って」。言葉や写真のみならず、「気持ち」とタイトルをつけた何も入っていないガラスケースを置いた。「心の目で自分の気持ちを想像してみてください」とのメッセージを添えた。 東京でも大阪でも連日1000人ほどが来場する盛況ぶりであった。若い人も年配の人も男性も女性も。那須川も会場に顔を出して来場者と交流した。 「天心さんを見て元気をもらっていますとか、生き方が変わったとか、直接言ってもらえることがあって、それは本当にうれしかった。みんなどうやったら自分らしく生きられるか、模索している人が多い感じがして、おかげで明確になったよとも言われました。個展をやる意味があったなって感じることができました」 ファンとの交流で那須川自身も莫大なパワーを受け取った。それは『ドラゴンボール』の孫悟空の必殺技、元気玉(ゲンキダマ)のように。一緒に戦うという那須川のスタンスがここでも垣間見えた。