【Q&A】「ワクチン」の効果とは? 「有効性95%」って?
新型コロナウイルスを予防するワクチンの接種が日本でも始まりました。日本は、米国のファイザー社、モデルナ社、英国のアストラゼネカ社の3社からワクチンを供給されることになっており、医療従事者への先行接種で使われているのはファイザー社のものです。このワクチンですが、そもそもどのような役割を果たし、どの程度効果があるものなのでしょうか。米国の国立研究機関の博士研究員で、ウイルス学・免疫学が専門の峰宗太郎医師に聞きました。 ※2月25日時点の情報に基づく内容です
Q:ワクチンの効果とは?
ウイルス感染症に対する効果には(1)感染予防効果(2)発症予防効果(3)重症化予防効果――の3種類の効果があります。 感染予防効果は、ウイルスがわれわれの体の中に入ってくるのを防ぐ効果を指します。発症予防効果は、感染した後に鼻水が出たり、熱が出たり、身体がだるくなったり、肺炎になったりという発症を防ぐ効果です。そして、感染して発症しても、重くなるのを防ぐのが重症予防効果です。
Q:3社のワクチンは何に効果があるの?
ファイザー社のワクチンの臨床試験の結果として「95%の有効性がある」というのは発症予防効果です。とにかく症状が出ないようにする。モデルナ社は94.1%、アストラゼネカ社は70~90%の発症予防効果があります。また、ファイザー社とモデルナ社のワクチンには重症化予防効果があることも明白です。
Q:感染予防効果は?
感染予防効果があるかどうかを調べるにはワクチンを打った人と打っていない人の全員にPCR検査をする必要があります。なおかつ、PCR検査には偽陰性(陽性なのに陰性と判断されること)があり正確なデータを取りにくい、という問題もあります。 ただ、メカニズム的には感染予防効果もあると考えられており、動物実験などの実験データもあります。また、モデルナ社、アストラゼネカ社の治験データと、一早く国民へのワクチン接種を始めたイスラエルの状況などから感染予防効果があることが分かり始めており、ファイザー社のワクチンについては90%を超える感染予防効果があるという論文も出ました。他の会社のワクチンでも最低60%程度は感染予防効果があることを示すデータがあり、感染予防効果もあるワクチンと言えるでしょう。