健康の元凶はストレス!1日たった10分で、言葉によりリラックスを導くセルフコントロール術/ハーバード大学・根来秀行教授
筋肉がゆるむほどに重感が増し気持ちの落ち着きも深まっていく
◆第1公式 重感練習 「両手両足が重たい」 「『重感練習』は手足の筋肉がゆるんで重たい感覚に気づく練習です。 最初は、神経が発達している利き手から始めるほうが感覚をつかみやすいでしょう。右利きの人なら、『右手が重たい』と心の中で繰り返しながら、ぼんやりと右手右腕全体に注意を向けます。 まずは右手の指先あたりの感覚になんとなく注意を向けると重感をつかみやすいでしょう。途中に『気持ちが落ち着いている』を挿入しながら『右腕が重たい』を心の中で繰り返し、重たい感じがちょっとでも得られればOKです」 腕の筋肉がだらんとして動かないような感じがしてきたが。 「その感覚です。『重たい』というのは筋肉がゆるんだ感じです。人によって感じ方はいろいろですがそれでいいんです。重たい感じがつかめると気持ちの落ち着きもますます深まり、すると重たい感覚もよりわかりやすくなるというリラックスの循環が生まれます。 足も同様にして、『右手が重たい』→『左手が重たい』→『両手が重たい』→『右足が重たい』→『左足が重たい』→『両足が重たい』という順で、公式を心の中でゆっくり繰り返しましょう」
温感練習で手足の皮膚温が上昇! 末端冷え性も改善する
◆第2公式 温感練習「両手両足が温かい」 「両手両足の重たい感じが起こるようになったら、両手両足が温かいことを感じていきます。重感練習と同様に、利き手の練習から始め、反対の腕、両脚と進みます。『右手が温かい』→『左手が温かい』→『両手が温かい』→『右足が温かい』→『左足が温かい』→『両足が温かい』という順で、公式を心の中でゆっくり繰り返しましょう」 温かいと思うと副交感神経が上がりやすくなるのだろうか? 「その通り。気持ちが落ち着くと筋肉が弛緩します。すると自然に毛細血管の蛇口が開いて血流が増えて、抹消まで血液が行きやすくなります。自律訓練中の皮膚温の測定を行った実験では、多くの研究者によって手足の皮膚温が上昇することが確認されていて、8度以上も上昇したという報告もあります」 それは朗報! 冷え性でいつも手足が冷たのだが、自律訓練法を続けると改善するのだろうか? 「確実に。実際に自律訓練のあとに毛細血管をデバイスで観察してみると、血流がよくなるのが見てとれます。冷え性の人は指先の毛細血管の形が崩れて、不揃いなことが多いのですが、自律訓練を積み重ねていけば、毛細血管もまっすぐ伸びて数も増え、体のすみずみに血液が行き渡ります。 手足の冷えやすい人はお風呂上がりに練習すると効果的です。お風呂に入ったとき、両手両足に注意を向けてじんわり温まってくる感覚を確かめてみてください。その感覚を温感練習するときにイメージすると、条件反射的に手足の毛細血管が拡張しやすくなってくるはずです」