健康の元凶はストレス!1日たった10分で、言葉によりリラックスを導くセルフコントロール術/ハーバード大学・根来秀行教授
環境と姿勢を整えるだけでも自律神経は安定してくる
では早速、自律訓練法のやりかたを教えていただこう。 「その前に準備段階として、リラックスできる環境と姿勢を整えることが大切です。 ひとりで静かに落ち着ける場所を選び、時計、締め付けのきつい下着などは外して、ゆったりした服装で行います。 姿勢については、以下の2つの基本姿勢があります」 《自律訓練法の基本姿勢》 ●イス姿勢 両手を軽く腿の上に置いて椅子に深く座る。背もたれのある場合は寄りかからない。 両足は肩幅に開き、膝が90度よりやや鈍角になるように。足裏が床から浮いていると気持ちが不安定になるので床にゆったりとつける。慣れてくれば、電車の中やカフェなど、周りに人がいる場所でもできるようになる。 ●仰臥(ぎょうが)姿勢 仰向けになり、両足を肩幅くらいに開き、足先を扇形に開く。両腕は軽く開いておこう。 手のひらの向きは上でも下でもかまわないが、指、手首、肘の関節がわずかに曲がる程度に力を抜く。枕を使う場合は首にもかかるようにして、首の筋肉が突っ張らないようにする。仰臥姿勢は力を抜きやすいので初心者におすすめだ。 「どちらも自然に心身がゆるむように考案された姿勢です。始めるときは、軽く瞼を閉じ、口元は上下の歯が触れない程度にゆるめておきます。何度か深呼吸して、息を吐くときに体の力を抜き、こわばっているなと感じるところがあれば体をゆすったりして緊張をほぐしておくといいでしょう。準備が整ったらいよいよ言語公式の第一段階『背景公式』です」
30%の落ち着きでもかまわない。積み重ねることで落ち着きは増幅する
◆1 背景公式「気持ちが落ち着いている」 「『背景公式』は自律訓練法の全段階の基本になるものです。『気持ちが落ち着いている、気持ちが落ち着いている…』と心の中で繰り返します」 気持ちを落ち着かせる練習だろうか? 「いいえ、気持ちを落ち着かせる練習ではなく、すでに落ち着いている状態を自覚する練習です。準備段階で環境や姿勢を整えた時点で、体と心はある程度リラックスした状態にあります。ですから、『気持ちが落ち着いてくる』ではなく、『気持ちが落ち着いている』という言葉を使うのです」 確かに言い切ることで「落ち着いている」気分になってきた! でもこれを本当にちゃんと落ち着いている状態といっていいのだろうか? 「完璧な落ち着きを求めてがんばらなくていいんですよ。少し落ち着いているなと思えばそれでOK。 『気持ちを落ち着けよう』などと意識が働くと焦ってしまってかえって落ち着かなくなります。意志力を働かせるのではなく、あくまで、『今、落ち着いている状態にある』とただ素直に思ってみてください。 今の落ち着きに満足して進めていると、繰り返すうちに落ち着きの度合いも増幅していきます。何度か繰り返し、自分で『落ち着いているな』と納得したら、第1公式『重感練習』に入ります」