東京で減らない人流「早晩大阪のようになる」尾身会長が警鐘
政府の新型コロナウイルス対策分科会の尾身茂会長は15日、持ち回りの会合を受けて記者会見し、じわじわと感染が再拡大している東京都について、変異株が広がり感染が急拡大する大阪府のような状況に「早晩なる可能性はある」と述べ、人流がこのまま減らない場合は感染が急拡大する可能性があると警鐘を鳴らした。 【動画】「歓楽街の夜間人口」「前週比」「若者の感染」感染拡大前の“3つのポイント” 尾身会長が会見
大阪は「一般診療に影響が出るレベル」に
大阪府では3日連続で1000人以上の新規感染者が報告されるなど感染が急拡大しており、特に変異株の広がりに注意が集まっている。尾身会長は大阪の現状について「一般診療に影響が出るレベルにもう行っている」「医療がすでに逼迫し、重症者も増えていて、医療体制は深刻な負荷がかかっている」と危機感をあらわにした。 その上で「感染者を減らす努力は当然やるが、大阪において最大の優先課題は、難しいとは思うが、あらゆるリソースを最大限活用して増える重症者になんとか対応できるだけの(態勢を整える)。そういう時期に来て、最初のラインはもう突破している」と述べ、大阪では予定していた手術についても緊急度に応じて優先順位をつけざるを得ない状況になっていると語った。そうした医療の危機に対し、知事をはじめ、民間病院や大学病院、国公立病院には「いままでとは違うレベルの連携」を求めた。
感染拡大が「表面に見えてからでは遅い」
東京については、まん延防止等重点措置(重点措置)が4月12日に適用されたばかりで、5日に始まった大阪と比べ、夜8時以降の夜間の人流の減り具合が弱いと指摘。「いま感染者の表面の数だけ見れば微増だが、これはもう少し急激な拡大をすることを想定しておいたほうがいい」「今までのデータを見ると、このまま人流が減らずに行くと、グッと感染が急激に拡大する可能性は否定できない」と警戒感を示した。 さらに感染拡大が「表面に見えてからやったのでは遅い」「過去のデータをもって科学的に類推するということが極めて重要」と述べ、重点措置を効果的に活用して早めの先回りした対策を取ることで感染を抑え込んでいくべきだとした。
五輪関係なしに「重点措置成功させないと」
会見では、自民党の二階俊博幹事長が、東京五輪について、コロナの感染で「これ以上とても無理だということだったらこれはもうスパッとやめなきゃいけない」と中止の可能性に触れた発言について尾身会長の見解を求める質問が出た。 それに対しては「国会でも聞かれたが、五輪の開催は分科会、アドバイザリーボードも当然意見を求められていない。コメントは差し控えるべきだと思う」と具体的な言及を避けたが、「その上で言うと、五輪に関係なしに今の東京は重点措置を成功させないといけない」と述べ、ワクチンが高齢者に行き渡る夏までは感染拡大を防ぐ必要があるとした。