【特集:ニッポンAIの明日】第2回 東京はAI開発の世界的拠点になれるか―快進撃のサカナAI創業者、伊藤錬さん
オープンソースは極めて重要
―12月から、東京都が設置した「AI戦略会議」の7人の委員の一人に就任されました。
私も外務省出身ですし、やはり「もう一度、日本をテクノロジーの国と呼ばせたい」という思いがあります。まだ、海外の人には、日本と言えばウォークマンがあり、ファミコンがあり、テクノロジーが進んでいる国だというイメージが残っています。だからこそ「テクノロジーの夢をもう一度」と思うわけです。
また、サカナAIはオープンソースの会社です。オープンソースというのは、ギブアンドテイクの世界。進化的モデルマージやAIサイエンティストも、すべて他人の作ったものを使っています。だから我々は、作ったものをすぐに公開して「ギブ」することに余念がありません。「彼らに使わせると良いことがあるぞ」とコミュニティに思ってもらえることが極めて重要だからです。
それと同じで、東京という街も、我々の置かれた外部環境でありエコシステム(生態系)です。AI戦略会議などの機会を通じて、そのエコシステムに貢献していければと考えています。 丸山隆一/フリーランスライター
プロフィール
伊藤 錬(いとう・れん) サカナAI 共同創業者(COO) 2001年東大法卒、外務省入省。在米国日本大使館勤務を経て、本省にて日米安保、日EU経済連携協定交渉に従事。総理大臣通訳官も務める。11年世界銀行に勤務。15年メルカリ執行役員(グローバル事業担当)、22年英Stability AIでCOOを務めた後、23年にサカナAIを共同創業。24年12月東京都AI戦略会議の委員に就任。米NVIDIAや幅広い日本企業と提携の上、自然界の原理を応用した基盤モデル開発を進める。04年ニューヨーク大学ロースクール修了、05年スタンフォード大学大学院修了。ニューヨーク州弁護士、ニューヨーク大学ロースクール・シニアフェロー。日米欧三極委員会委員も務める。