古代エジプトの墓やミイラを発掘 金沢大など調査隊 実態解明へ
エジプトの首都カイロ南郊サッカラで日本・エジプト合同調査隊が実施した発掘調査により、古代エジプトの第2、3王朝(約4900~約4600年前)や第18王朝(約3600~約3300年前)の墓などが見つかった。 【写真】発掘現場から見つかったミイラ 発掘現場はこれまで調査が行われていなかった台地の斜面で、調査隊を率いる金沢大学古代文明・文化資源学研究所長の河合望教授は取材に対し「近くに重要人物の墓がある可能性もあり、今後も新たな発見が期待できる」と話した。 第18王朝は黄金のマスクで知られるツタンカーメン王の時代にあたる。河合教授やエジプト観光・考古省の発表によると、この時代の墓は十数基が見つかった。いずれも質素な作りで、当時の中流以下の市民が埋葬されていたとみられる。当時の庶民の文化や埋葬習慣の解明につながる可能性があるという。 また、第2、3王朝時代ごろのものとみられる土器やつぼ、紀元前2世紀ごろのミイラなども新たに見つかった。この斜面には、古い時代の墓の上に新しい時代の墓が造られており、このエリアが長年にわたり重層的に墓地として利用されていたことが分かったという。 サッカラは古代エジプトの都メンフィスのネクロポリス(墓所)。第3王朝時代のジョセル王の階段ピラミッドがあることでも知られ、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産にも登録されている。【カイロ金子淳】