実は謎が多い水星 探査機「みお」と「MPO」が挑む“宿題”
惑星「水星」の素顔に迫ろうと、日本と欧州が共同で取り組む国際水星探査計画「BepiColombo(ベピ・コロンボ)」。この計画の中核となる2機の探査機「みお」と「MPO(=Mercury Planetary Orbiter)」が先月10月20日午前10時45分(日本時間)に、仏領ギアナのギアナ宇宙センターから打ち上げられました。 【画像】SF映画が現実に? ここまで進んだ 小惑星の地球衝突を回避する議論
水星は、太陽系の惑星の中で最も小さく、そして太陽に最も近い惑星です。太陽に近すぎるために、太陽の側を向いた昼の部分の温度は400度以上まで到達します。一方で、大気がごくわずかしかない上に、昼と夜がそれぞれ3か月ほど続くため、反対側の夜の部分はマイナス200度近くまで低下します。地球からでは太陽が邪魔となってうまく観察できず、探査機を送ろうと思っても太陽の引力のせいで、水星の軌道に乗せるのが難しく、地球からの近さの割には探査があまり進んでいません。いまだに多くの謎に包まれた惑星なのです。
最初に水星を訪れた探査機は米国の「マリナー10号」。1974年から1975年にかけて水星のそばを3回通過しました。しかし、このときは通過しただけで、詳しい観測はできませんでした。次の探査機はやはり米国の「メッセンジャー」です。メッセンジャーは水星の周りを回った初めての探査機で、2011~2015年にかけて北半球を中心に全球を調べました。探査機メッセンジャーのおかげで、水星の全体像が見えてきた一方、逆に深まってしまった謎もあります。 今回のベピ・コロンボ計画では、水星の表面を調べる欧州の探査機「MPO」、そして磁場・磁気圏を調べる日本の「みお」が協力し、メッセンジャーが残した未解決問題、深まった謎に挑みます。その謎が解ければ、水星だけでなく、惑星全般の理解が大きく広がると期待されます。そうすれば数多くある惑星の中で地球が特殊な存在なのか、それともありふれた存在なのかが分かるかもしれません。