「はやぶさ2」カプセル回収 JAXA会見(全文5)はやぶさ2は“持っていた”
重圧がサンプル採取成功につながったのか
東京新聞:東京新聞の増井といいます。今日は本当におめでとうございます。津田さんにお伺いしたいんですけれども、2回目の着陸のときもすごい重圧があって、ターゲットマーカーを落とすときは駄目かもと思ったっていうことだったんですけど、今振り返ればなんかそれが結果的に地下物質を採取することにつながったっていうことなんでしょうか。 津田:はい。駄目かもと思ったのは、ターゲットマーカーを落とそうとして1回アボートしてリハーサルが中止されたことがあって。結果としてそのときに撮影された地形データから着陸地点をわれわれ、変えているんですね。それは今まで、行きたいけれども情報が少なくて危険だと思ったから行けなかったところに、アボートしたおかげでデータが取れて、結果として安全が確認できて、結果として本当に行きたかったところを選んで着陸ができたという流れです。これは本当もう「はやぶさ2」が持っているとしか言いようがなくて、もう本当に運が良かったと思います。 アボート自身は威張れることではないんですけども、結果として、あのままアボートしなかったら一番望んでいるところではないところに着陸ができたでしょう。だけどアボートしたおかげでって言ったら変ですけども、もう本当にベストな場所、ここに行きたいと思っていたところに行けたのは、本当に「はやぶさ2」が持っていたんだと思います。
得た技術をどうMMXに生かすのか
東京新聞:あと今後についてなんですけど、MMXにも「はやぶさ2」チームが関わっているっていうことなんですけど、「はやぶさ3」に当たるものも検討されているっていうことで、「はやぶさ2」の伸びしろをなんかどういうふうに、MMXに生かすのか、「はやぶさ3」に生かすのか、どういうふうにお考えなんでしょうか。 津田:「はやぶさ3」っていうのが今なんか具体的な名前であるわけではないですけども、先ほどのご質問にもあったように、2018年以降、得た技術っていうのは、これ持っていただけじゃもったいないので、どう生かせるかっていう、生かすとしたらどういうミッションが考えられるんだろうかっていうのは考え始めています。 これは、「はやぶさ2」のチームで中核を担った人たちはいろんなミッションでも貢献しています。その中にはMMXもあって、こういうところで実際に着陸の経験を持つ若い技術者が、次の9年後のミッションに大きな力を発揮してくれているというふうに思っています。だけどそれで終わりではもちろんなくて、それからその次のミッションはなんだろうって考えたときに、やっぱり、「はやぶさ3」かどうかは分かんないですけれども、小さい天体に行くミッションっていうのはわれわれができる得意技に今のところなっているので、これを100%、120%生かすミッションっていう意味では、ぜひ考えてみたいと思っています。なので、あっちかこっちかではなくて、もういろんなところに応用の範囲が、われわれのできたことからはあるというふうに思っています。 東京新聞:ありがとうございます。あと。 司会:増井さん、すいません。まだたくさん質問を待っていらっしゃる方がいるので。では次の方どうぞ。真ん中、女性の方どうぞ。 【書き起こし】「はやぶさ2」カプセル回収 JAXA会見 全文6に続く