大阪・寝屋川流域で「地下河川」整備進む 浸水被害の軽減に向け
大阪府では現在、府の東部で治水対策の一環として「地下河川」の整備を進めています。12日には、地下河川の一部である「城北立坑(たてこう)」の工事現場で府政学習会を開催しました。 [写真]工事現場の説明看板に立坑の深さを示す例として挙げられた通天閣
地下河川を作るための施設
JR野江駅から東へ20分弱歩くと、周囲を高いフェンスで囲った区域が現れました。フェンスの上の向こう側に見えるのは、複数台の巨大なクレーンの一部。ここが「城北立坑」の工事現場です。 「立坑」とは、「地下河川」という流域の外側に雨水を排出する地下トンネルを作るための施設です。地面に深い縦穴を掘り、穴の内側からシールドマシンと呼ばれる掘削機械などを使って地下トンネルを建設します。
南北を大和川と淀川、東西を生駒山地と上町台地に囲まれた寝屋川流域は、雨水が自然に河川へ流入しない「内水域」が約3/4を占めることなどから、水害がたびたび発生。このため、府では河川の幅を広げるなど同流域の治水対策に取り組んでいます。 地下河川の整備は、その一環です。府は現在、流域内で「寝屋川北部地下河川」と「寝屋川南部地下河川」を建設中。城北立坑は、寝屋川北部地下河川の一部に含まれる施設です。
立坑の深さは通天閣の高さとほぼ同程度の約100メートルに達する予定
この日の見学会の参加者は、城北立坑の工事の現状や工法の説明を聞いた後、工事現場を実際に見学しました。 現場で作られていたのは、「ケーソン」と呼ばれる立坑の壁の一部です。資料によると、ケーソンの大きさは外径34.8メートル、内径28メートル、高さ約2.6メートル~7.2メートル。地上部でケーソンを作り、縦穴の内部を掘削して沈める、という工程を繰り返します。 沈めるケーソンの数は合計16ロット。最終的に、立坑の深さは通天閣の高さとほぼ同程度の約100メートルに達する予定です。
城北立坑の工事完了は2026年2月の予定。寝屋川北部地下河川については、地下トンネルの建設などを経て、2044年度の完成を目指しているそうです。 (取材・文:具志堅浩二)